植物油脂のヨウ素価94種類の一覧とゼロから分かる計算方法

Iodine_value

ヨウ素価とは?

よくオイルの特徴を見ると、ヨウ素価100といったように、数値が記載されていることがあります。この数値はそのオウルの中の不飽和脂肪酸の量を示す指標となります。言い換えると、そのオイルの酸化しやすさを見るひとつのツールとなります。ここでは、ヨウ素価の意味、94種類の植物油脂のヨウ素価一覧、化学が苦手な人にも理解できるようにヨウ素価の計算方法について説明していきます。

目次

  1. ヨウ素価の定義
  2. 94種類のヨウ素価一覧
  3. ヨウ素価によって分けられる油脂の乾性
  4. ヨウ素価をゼロから理解する:油脂のヨウ素価の計算方法

 

ヨウ素価の定義

ヨウ素価とは、「油脂100gに付加できることができるヨウ素(I2)のg数」を表します。ヨウ素は、脂肪酸の中の二重結合に付加反応をします。そのため、そのオイルの中にどんな脂肪酸が含まれていて、さらにその脂肪酸の中に二重結合がどれくらいあるかによって、ヨウ素価の数値が決定されます。

なぜ酸化しやすさの指標となるのか?

酸化は、脂肪酸の中の二重結合が空気中の酸素や熱、水などと反応して起こります。油脂とヨウ素の反応と同じように、二重結合がどれくらいあるかが酸化しやすさを測る目安になります。そのため、油脂の酸化を測る時、二重結合と反応しやすいヨウ素を使って計算します。数値が高い方が、酸化しやすいという意味になります。計算ではなく、実際にヨウ素を添加し測定する方法もあります。

 

94種類の植物油脂のヨウ素価一覧

各植物油脂のヨウ素価を紹介しています。浸出油の場合は、ベースとなっているオイルの数値をご覧ください。例えば、セントジョーンズワートオイルの浸出油で、オリーブオイルがベースの場合、オリーブオイルのヨウ素価を参考にします。

※注意点※

ヨウ素価は、同じ油脂でも抽出方法や原材料の地域、商品やロットによっても変化するのでご注意ください。そのため、乾性油・半乾性油・不乾性油の分類も若干他と違う場合があります。ここでの数値は、各油脂の詳細ページで示している脂肪酸組成の場合の数値から算出しています。(リンクのないものも順にアップしていきますのでお待ちください。)同じ種類のオイルでも、脂肪酸組成が異なれば、異なるヨウ素価になります。各ページに記載しているように、脂肪酸組成は、行政機関や論文、信頼できる参考文献を参考にしています。さらに、ご自分で正確にヨウ素価の計算をしたい場合は、このページの下の「ヨウ素価の計算方法」を参考にしてください。

不乾性油

植物油脂 ヨウ素価
ウクウババター 0
ナツメグバター|ニクズク油 5.2
ココナッツオイル|ヤシ油 12.6
パーム核油|パームカーネルオイル 16.9
ババスオイル 17
ムルムルバター 21.2
ココアバター|カカオバター 36.1
コクムバター 37.5
マンゴーバター 44
クプアスバター 47
シアバター 50.2
パーム油 52.8
モリンガオイル 65.3
アンディローバオイル 67.1
ニームオイル 69.4
シーバックソーンオイル(果実) 72.6
マルラオイル 74.4
ホホバオイル 76.5
マカダミアナッツオイル 78.6
グレープフルーツシードオイル 79.4
ひまわり油(高オレイン型)|サンフラワーオイル 80.3
パパイアシードオイル 81
椿油 81.2
カシューナッツオイル 81.9
ひまし油|カスターオイル 83.8
オリーブオイル 84
バオバブオイル 88.2
ヘーゼルナッツオイル 89.2
アボカドオイル 90
カメリアオイル 90.4
メドウフォームオイル 92.6
スイートアーモンドオイル 95.2
チェリーカーネルオイル 96
マスタードオイル 98.3
ハトムギ油|ヨクイニン油 99.5
ピーナッツオイル|落花生油 99.9

半乾性油

植物油脂 ヨウ素価
柚子油|ゆずオイル 100.4
ピスタチオオイル 101.2
オレンジシードオイル 103
アルガンオイル 103.2
米油|米ぬか油|ライスブランオイル 104.3
プルーンシードオイル|プラムカーネルオイル 104.4
紅花油(高オレイン型)|サフラワーオイル 105
シーバックソーンオイル(コンプリート) 105.7
ピーチカーネルオイル 107.7
あんず油|アプリコットカーネルオイル 108.4
タマヌオイル 109.4
レモンオイル 112.5
綿実油|コットンシードオイル 113
ごま油|セサミオイル 113.1
ペカンナッツオイル 113.5
トマトシードオイル 120.8
ブラジルナッツオイル 122.8
ミルクシスルオイル 125.2
コーン油|トウモロコシ油 126.7
キューカンバーシードオイル|キュウリ油 127.8
スイカ油|ウォーターメロンシードオイル 128.3

乾性油

植物油脂 ヨウ素価
大豆油|ソヤオイル 131.7
ケシ油|ポピーシードオイル 132.1
ブラッククミンシードオイル 133.9
りんご油|アップルシードオイル 134.5
グレープシードオイル|ぶどう油 136.2
ひまわり油(高リノール型)|サンフラワーオイル 137.4
サボテンオイル|ウチワサボテンオイル 137.5
小麦胚芽油|ウィートジャムオイル 139.2
パンプキンシードオイル 140.1
パッションフルーツシードオイル 141.9
グァバシードオイル 142.3
紅花油(高リノール型)|サフラワーオイル 142.6
菜種油|レイプシードオイル 143.8
ボラージオイル 144.4
くるみ油|ウォールナッツオイル 146.5
シシンブリウムオイル 147.5
松の実油|パインシードオイル 152.9
カメリナオイル 158.4
クランベリーシードオイル 160.2
ライムシードオイル 161.1
ニガウリ油 163.6
ヘンプシードオイル 163.8
シーバックソーンオイル(種) 164
ククイナッツオイル 165.7
月見草オイル|イブニングプリムローズオイル 168.1
ストロベリーシードオイル|イチゴ油 173.9
ブラックカラントオイル|カシスオイル 178.4
ローズヒップオイル 183.7
ラズベリーシードオイル 184.5
亜麻仁油|フラックスシードオイル 190.3
えごま油|しそ油|ペリラオイル 197.3
インカインチオイル 198.7
キウイシードオイル 203
カレンデュラシードオイル 204
チアシードオイル 204.2
桐油|キリ油|とう油 231.9
ザクロオイル|ポメグラネイトシードオイル 237.5

 




 

ヨウ素価によって分けられる油脂の種類

油脂のヨウ素価の数値によって、3つに分類する分類法があります。

乾性油:ヨウ素価130以上

ヨウ素価130以上の油脂です。ヨウ素価の数値が高い油脂は乾性油と呼ばれます。ヨウ素価が高いということは、油脂内に二重結合が多い=不飽和脂肪酸の含有量が多い=酸化しやすい、ということになります。空気中で酸化し、固まる油脂です。一度固まったものは、違う構造の物質になっているので、ワックスのようにまた溶かすことはできません。

半乾性油:ヨウ素価100~130

ヨウ素価100~130の油脂です。半乾性油は、中間のヨウ素価を持ちます。空気中で酸化の反応はするけれど、完全には固まらない油脂です。

不乾性油:ヨウ素価100未満

ヨウ素価100未満の油脂です。不乾性油はヨウ素価が低いので、比較的安定しています。空気中で殆ど固まりません。ヨウ素価が低いということは、油脂内に二重結合が少ない=不飽和脂肪酸の含有量が少ない=酸化しにくい、ということになります。

 

ヨウ素価の計算方法

実際に、特定の植物油脂のヨウ素価の求め方を説明していきます。前述したように、ヨウ素価は「二重結合の数」が大事になるので、それを求めていくような考え方です。ここではスイートアーモンドオイルの例を挙げてみます。

1. その油脂の平均分子量を求める

まず、特定の植物油脂を構成する脂肪酸の構成をチェックし、それらの脂肪酸の平均分子量を求めます。そこから油脂自体の平均分子量を求めます。この詳しい説明は、けん化価の計算のページの手順1~5で丁寧に説明しています。

あるスイートアーモンドオイルの場合、

  1. 脂肪酸の構成→ オレイン酸80%、リノール酸14% パルミチン酸6%
  2. 各脂肪酸の分子量→ オレイン酸 282、リノール酸 280、パルミチン酸 256
  3. 脂肪酸の平均分子量→ 282×0.8+280×0.14+256×0.06 = 225.6+39.2+15.36 = 280.16
  4. アーモンドオイルの平均分子量→ 280×3+92-54 = 840+38 = 878

この脂肪酸組成のアーモンドオイルの平均分子量は878で、グラム(質量)で表すと878g/molとなります。

※molとは?

molとは、「原子がアボガドロ数(約6×1023)個あつまった物質量」です。そして、原子量や分子量にグラム(g)をつけることにより、1molの重さになります。つまり原子量1の水素原子(H)の重さは、1g/molとなり、分子量2の水素(H2)の重さは、2g/molとなります。

 

2. 脂肪酸1分子中にある、二重結合数の平均を求める

まず、油脂に含まれる各脂肪酸の1分子中に、何個の二重結合があるかを調べます。詳しくは「不飽和脂肪酸とは?」のページにある脂肪酸のリストをご覧ください。そして、脂肪酸1分子に、二重結合が何個あるかの平均を調べます。

 

公式①

脂肪酸1分子の中にある二重結合の平均数 = 各脂肪酸の中にある二重結合の数 x 脂肪酸の含有%を足したもの

 

ここでのスイートアーモンドオイルの場合、

  1. 各脂肪酸の1分子中の二重結合の平均数→ オレイン酸1個、リノール酸2個、 パルミチン酸0個
  2. 1×80% + 2×14% + 0x6% →0.8 + 0.28 + 0 →1.08

この脂肪酸組成の場合、1分子中にある二重結合の平均は1.08個です。

 

3. 油脂1分子中にある、二重結合数の平均を求める

油脂は、3個の脂肪酸とグリセロールが結合してできています。そのため油脂1分子中の二重結合数は、脂肪酸中の二重結合数の3倍になります。※油脂の詳しい説明は「脂質の分類」をご覧ください。

 

公式②

油脂1分子中の平均二重結合数 → 脂肪酸1分子中の均二重結合数 x 3

 

ここでのスイートアーモンドオイルの場合、2で計算した数値から、

1.08 x 3 → 3.24

この油脂1分子の中に、二重結合は3.24個あります。

 

4. 油脂100gあたり、何molかを求める

ヨウ素価とは、「油脂100gに付加できることができるヨウ素(I2)のg数」なので、特定の油脂100gは何molになるかを求めます。分子量にgをつけることで1molあたりの重さを表すので、ここで1で求めた油脂の平均分子量を使います。

100g : Xmol = 油脂の平均分子量 : 1mol ということになります。よって、式に表すと次になります。

 

公式③

油脂100gあたりのmol数 = 100g ÷ 油脂の平均分子量

 

ここでのスイートアーモンドオイルの場合、油脂の平均分子量が878だったので、

100 ÷ 878 → 0.1338・・・

この油脂100gあたりは、0.1338・・・molです。

 

5. 油脂100gに付加できるヨウ素のmolを求める

油脂に付加できるヨウ素のmolは、3で求めた油脂1分子あたりの二重結合の数に、4で求めた100gあたりのmol数を掛ければ求められます。二重結合1個にあたり、ヨウ素1分子が反応するので、油脂1分子あたりの二重結合の数は、油脂1molあたりに反応するヨウ素のmolと同じということになります。

 

公式④

油脂100gに付加できるヨウ素のmol = 油脂1分子あたりの二重結合の数 x 油脂100gあたりのmol数

 

あるスイートアーモンドオイルの場合、油脂1分子当たりの二重結合は3.24個で、100gあたり0.1338・・・molでした。

3.24 x 0.1338・・・ → 0.4335・・・mol

この油脂100gあたりに、0.4335・・・molのヨウ素を付加できます。

 

6. 油脂100gに付加できるヨウ素の分子量(g) = ヨウ素価を求める

付加できるヨウ素のmol数が分かったので、それをgに変換させます。それはつまり、ヨウ素価を求めることです。ヨウ素はI2という分子式です。Iは127の原子量を持つので、I2は、127 x 2 = 254 の分子量となります。つまり254g/molとなります。そのため、付加できるヨウ素の分子量(=ヨウ素価)は、4で求めた、油脂100gに付加できるヨウ素のmol数に、254を掛ければ求められます。

 

公式⑤

ヨウ素価 = 油脂100gに付加できるヨウ素のmol数 x ヨウ素の分子量254

 

ここでのスイートアーモンドオイルの場合、

0.4335・・・ x 254 → 100.112・・・ 

この油脂のヨウ素価は、約100になります。通常アーモンドオイルのヨウ素価は95-103なので、範囲内になっています。

 

 

次はこれを要チェック

vegetableoils classification fattyacid3 fattyacid2 sanka Saponification

 

 

スポンサーリンク



 

 


参考文献を見る
@Depositphotos.com/ vkarafill

 

コメントを残す