各植物油脂・キャリアオイルの効能

パーム油(パームオイル)の効果効能|石けんや食用に使用!危険と言われる理由は?

パーム油|パームオイルの効果効能

目次

  1. パーム油のデータ
  2. パーム油の代表成分
  3. パーム油の特徴
  4. パーム油の効果効能
  5. パーム油は危険?
  6. 手作り石けんとパーム油



パーム油のデータ

名前 パームオイル、パーム油、アブラヤシ油、Palm oil
学名 Elaeis guineensis
科名 ヤシ科
使用部位 果実
抽出方法 低温圧搾法、溶剤抽出法など
香り 無臭
  • レッドパームオイル:赤
  • ホワイトパームオイル:白
酸化 酸化しにくい
ヨウ素価 52.8  ※
鹸化価(NaOH) 141.8(135-150) ※
鹸化価(KOH) 198.6(190-209) ※

※ヨウ素価と鹸化価の値は、下記の成分量をベースに計算した数値です。カッコ内の数字は、一般的に言われている数値の範囲です。これらは同じ植物のオイルでも、原料の種類、地域、抽出方法、商品やロットなど様々な条件によって変化する数値なのでお気を付けください。ヨウ素価と鹸化価の一覧と解説は下記をご覧ください。

鹸化価 ヨウ素価

パーム油の代表成分

主な脂肪酸(100gあたり)

飽和脂肪酸 49.300g
ミリスチン酸 1 g
パルミチン酸 43.5 g
ステアリン酸 4.3 g
一価不飽和脂肪酸 37.000g
オレイン酸 36.6 g
パルミトレイン酸 0.3 g
多価不飽和脂肪酸 9.300g
リノール酸 9.1 g
リノレン酸 0.2 g

ミネラル&ビタミン(100gあたり)

0.01 mg
コリン 0.3mg
ビタミンE(αトコフェロール) 15.94 mg
ビタミンK (フィロキノン) 8.0µg

※USDA栄養データベースを参照

脂肪酸について、脂肪酸の摂取方法などは下記をご覧ください。

脂肪酸 必須脂肪酸 オメガ脂肪酸 トランス脂肪酸



パーム油の特徴

熱帯地方に自生

パームオイルが取れるアブラヤシはナイジェリアを始めとした熱帯地方に自生しています。アフリカが原産で、インドやブラジルなどで栽培されています。15~30m程まで育ちます。野生種は樹齢12年ほど経たないと実をつけませんが、栽培種は4年ほどで実をつけます。

レッドパームオイルとホワイトパームオイル

パーム油は脱色しないと赤色をしています。脱色精製したものは白い色です。これを区別するためにレッドパームオイル、ホワイトパームオイルと言われます。

赤はカロテン

レッドパームオイルの赤色はβカロテンです。カロテンは体内でビタミンAに変わります。

パーム核油とは違う

同じアブラヤシからとれるものに、パーム核油があります。パーム油は果肉からとれるのに対し、パーム核油は実の仁からとったオイルです。組成が異なるので、性質も異なります。パーム核油の詳細をみる。

世界で最も生産される植物油

パーム油は世界で最も生産されている植物油の一つです。食用として、マーガリンやショートニング、石鹸の原料としてなど、至る所で使用されています。私たちが食べる加工品の中にもよく使われています。また、バイオディーゼルの原料としても使用されています。

自然環境の問題

パーム油は自然環境の破壊と結びつく深刻な問題を抱えています。パーム油の需要が高まるにつれ、プランテーションのために大規模な熱帯森林の伐採が行われているのが現実です。それが原因で様々な環境問題、それが引き起こす健康被害が問題になっています。持続可能なパーム油を生産するために、認証制度があります。消費者はそういった信頼できる商品を購入していきたいものです。

パーム油の効果効能

老化防止作用、抗酸化作用など

肌の老化防止

パーム油はおアルミリン酸とオレイン酸が大半を占めます。この2つの脂肪酸は、皮脂の成分にも含まれる脂肪酸です。肌に使用することで保湿や老化防止に役立ちます。また、酸化を予防するビタミンEも含まれます。

内側からの老化防止

特に未精製のレッドパームには豊富にβカロテンが含まれます。これは体内でビタミンAに変わります。ビタミンAは粘膜や皮膚を健康に保つ役割や、ガンや動脈硬化の予防をしてくれます。そして、パーム油の半分弱を占めるパルミチン酸は、体内でビタミンAを安定させます。そのことから、パーム油は内側からの若返りにとてもいいオイルになります。

エッセンシャルオイルの使い方一覧

パーム油は危険?

パーム油は危険と言われることが良くあります。その理由と、本当に危険なのかの判断材料をお伝えします。

抽出法・精製法が安全か?トランス脂肪酸は?

パーム油は低温圧搾法で抽出されるものと、溶剤抽出法で抽出されるものがあります。また、抽出後、精製されるものと未精製のままのものがあります。「植物油脂は危険?」の記事で紹介したように、溶剤抽出や精製の過程を経ている油脂は、沢山の危険な化学物質と高温にさらされています。結果として出来上がった油脂にはトランス脂肪酸をはじめとした有害物質が混入している場合があります。全てが危険とは限りませんが、溶剤抽出と精製の工程を経たパーム油には注意が必要です。

オイルの安全な選び方

酸化防止剤は安全?危険?

一般的に食用の植物油脂は、JAS農林規格においては酸化防止剤を使用してはならないとされています。食品衛生法ではトコフェロールやBHA(ブチルヒドロキシアニソール)が認められています。パーム油が危険と主張される場合、この酸化防止剤として使われているBHAやBHTが危険な物質であると言われています。BHTは殆ど使われていなく、今はBHAの方が使われています。これらはADHD、アレルギー、がん、関節痛、不眠、頭痛、といった様々な不調の原因になると言われています(※1)。一方で、BHAの発がん性に関しての研究は、その強さが極めて弱かったことから、安全だと主張している場合もあります。

手作り石けんとパーム油

パーム油は、安定して固く、型崩れのない石けんにするために必要なオイルです。酸化しにくいことも利点です。しかし、入れ過ぎると固くなりすぎて、水では溶けにくくなってしまい、泡立ちも悪くなります。そのため、ベースとなるオイルは別のオイルにして、パーム油は全体の15-20%前後くらい混ぜるのがいいです。

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※1: Sharla Race, Antioxidants The truth about BHA, BHT, TBHQ and other antioxidants used as food additives, Published by Tigmor Books, 2009

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