陰陽五行説|基本思想を3ステップでわかりやすく説明
陰陽説
始まりはBC1000年前後の中国と言われています。インドが起源のアーユルヴェーダの考えからから発展したとも言われ、アーユルヴェーダの考え方にも類似する部分があります。
POINT1: 万物は陰と陽の2つの性質に分けられる
陰陽説とは、「宇宙の万物は全て陰と陽の二つのエネルギーで構成されている」という思想です。このとてもシンプルですが奥の深いこの理念は、東洋医学や多くの食事療法や伝統医学の基礎となっています。西洋医学の歴史にも存在します。
陰陽説は、アロマセラピーやメディカルハーブ、そのほかの自然療法や代替医療と密接な関わりがあります。この理論を知っていると、より植物や自然の働きを理解しやすくなり、世界が広がります。
POINT2: 陰陽の具体的な性質を理解する
陰と陽は全ての万物が持つ性質です。二つは相対的であり、どちらか一つでは存在しません。
陰の性質
陰の性質はより物質的で、固まるエネルギーであり、よりゆっくりしていて、より冷たい性質があります。
陽の性質
陽の性質は、非物質的で、より動きのあるエネルギーで、より速く、より温かい性質があります。
自然界の現象で表すと、暗闇や夜、冬は陰になり、昼間や夏、日差しは陽になります。水は陰ですが、蒸気になると陽になります。私たちの体を表すと、細胞や組織、内蔵は陰にあたり、エネルギーや生命力は陽にあたります。
陰陽の具体的な性質一覧
陰と陽の根本的な性質をまとめています。これらの性質が根本で、そこから中医学の気の流れや、陰陽をもとにした心理作用の理解がしやすくなります。
陰 | 陽 |
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POINT3: 陰陽の心理的な性質を理解する
陰陽の根本的な性質の理解ができると、心理的な面でも陰陽を理解しやすくなります。
陰の心理的性質
陰はより内側にある、心理的な性質があります。感情、印象、感覚などに関わります。さらに深く考えていくと、陰は外のものを受け入れる、受容の性質があります。観察し、許容し、適応するのが陰です。
陽の心理的性質
陽は意識にあがってくる、思考、分析、論理などに関わります。そして、自分を表現するのが陽の性質です。的確に自分を表現し、目的を明確にできます。
陰陽の心理的性質一覧
陰 | 陽 |
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五行説
五行説は、陰陽説ととともに東洋医学の中心となる考え方です。陰陽説が紀元前1000年前後に成立したのに対し、五行説は比較的新しく、最初の記録は紀元前400年前後になります。その後宗の時代(960年~)に五行説は医学に取り入れられました。陰陽の概念とも密接に関わってきます。
POINT1: 万物は水・木・火・土・金の五元素の性質を持つ
「五行」というように、五行説は五つの元素を軸に考えます。万物は水、木、火、土、金の5つの元素に分けられ、それらがお互いに影響し合って宇宙が成り立っていると考えます。この五つは、アーユルヴェーダの五大元素(空、風、火、水、地)と似ていますが、少し違う考え方です。アーユルヴェーダの五大元素は、万物の性質を表すのに対し、五行説の5つの性質は、自然のエネルギーや動的な力のような概念です。
POINT2: 五大元素は全てが影響し合っている
図のように、五元素はお互いに影響し合っています。となり同士の性質は相生関係であり、向かい合う性質は調整する相克関係となります。
相生関係
まず「水」から始まり、右へと変化していきます。水を吸って「木」が育ちます。「火」は木によって勢いを増し、燃えた灰は「土」の養分となります。土の中では養分が固まり「金」を生じさせます。金属は溶けて「水」に戻ります。
相克関係
向かい合う性質は、抑制し調整する関係です。「水」は「火」を消す力があり、勢いを調整します。「木」は「土」の養分を吸い、または根をはり勢いを調整します。「火」は「金」を溶かすことで抑制し、「土」は「水」の流れを止めます。「金」は「木」を切り落とし、抑制します。
このようにより勢いを増す関係と、調整し合う関係がうまく組み合わさって自然界のバランスが取れています。私たちもこのバランスに沿って生きることで、スムーズに生きられると考えられています。
POINT3: 体の機能や心の状態も五元素に対応する
あらゆるものが五元素の性質を持ちますが、その中でも体の機能や心の状態は密接に結びついています。
五臓:体の機能
五元素の体の機能を表す概念を五臓といいます。腎・肝・心・脾・魄の五種類があり、それぞれ五元素の水・木・火・土・金に対応しています。西洋医学で言う腎臓、肝臓、心臓・・・よりも広い意味を持っています。私たちの体の「水」のエネルギーに不調があるとき、それに対応する「腎」の機能が低下するという考え方です。五臓と合わせて五腑(六腑)という概念もあり、五臓に対応する腑があります。
五神:心の状態
五元素に対応する、心の状態を五神といいます。志・魂・神・意・魄の五種類があり、それぞれ五元素の水・木・火・土・金に対応しています。私たちの体の「水」のエネルギーに不調があったり、「腎」の機能が低下していると、それに対応する精神部分の「志」に影響をもたらし、不安が生じてきたりします。
五元素と対応する性質の一覧
<表の見方の例>
「水」という元素は「陰」の性質を持ちます。五臓・五腑は元素に対応する臓器で、「水」」の場合は「腎」と「膀胱」になります。また、「水」は精神的な面を表した「志」と対応しています。「恐」が根本的な感情にあり、バランスが取れいると「知恵」と結びつきます。味は塩味と結びつき、塩味は対応する五臓の「腎」へ運ばれます。対応する表面部位は、不調が出やすい部位で、「水」の不調は「髪」に出ます。季節は冬、時間は夜、気候は寒さに対応していて、この時期に「水」の要素が多くなり、バランスが崩れやすくなります。
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