Aroma,  アロマセラピーの基本

植物の学名の意味と規則を知る|アロマ・ハーブ・園芸の基本

植物の学名

アロマやハーブのことを知ろうとすると、必ずその植物の「学名」を見かけると思います。普通に植物を鑑賞するだけの場合は、ラベンダーはラベンダーであって、学名まで細かく見る必要はそこまでないかもしれません。しかし、その植物の香りや作用を考えて使用するとなると、意外に大切なものなのです。

目次

  1. 学名が大切な理由
  2. 植物の分類法
  3. 学名の基本的なきまり
  4. よく見かける学名の意味
  5. 多肉植物などの園芸の場合



学名が大切な理由

同じ「ラベンダー」と言われるものでも、沢山の種類があり、それぞれ成分が異なります。中には同じように呼ばれている植物でも、実際は学名が異なり、植物的に違うものの可能性があります。場合によっては毒性のある危険があるものがあります。また、国や地域によって同じ植物でも違う呼び名で呼ばれていることがあります。そういったことで混同がおこらないよう、国際的に決められているものが学名です。逆にいうと、きちんと学名が書かれていないエッセンシャルオイル、フローラルウォーター、キャリアオイルなどの商品は信用度が低くなります。

植物の分類

植物は一般的に、大きい分類から順に、界(kingdom)・門(division)・綱(class)・目(order)・科(familia)・属(genus)・種(species)と表されます。こらはスウェーデンのC.リンネの2命名法やフランスのA.L.ジュシューの自然分類法がもとになっています。例えは「オレンジ」の場合、下記のようにあらわされます。

一般名 オレンジ Orange
植物界 Plantae
被子植物門 Magnoliophyta
双子葉植物綱 Magnoliosida
ミカン目 Rutales
ミカン科 Rutaceae
ミカン属 Citrus
オレンジ C. sinensis

学名の基本的なきまり

2命名法で表示する

アロマセラピーやハーブの世界では、学名は通常、国際命名規約に定められている「2命名法」で表されます。上の表で言うと下段の2つである、属名と種名で表され、属名は大文字から、種名は小文字から書かれ、ともに斜字体で表されます。言語はラテン語なので、少々読み方に馴染みのないものもあります。同じオレンジの精油の学名を2命名法で表すと、「Citrus sinensis」となります。Citrusが属名、sinensisが種名(種小名)を表します。アロマセラピーではCitrus sinensisはスイートオレンジと呼ばれています。

公式には命名者の名前を入れる

通常アロマセラピーやハーブの世界では、スイートオレンジは「Citrus sinensis」と表しますが、公式には命名者を入れ「Citrus sinensis L.」と表されます。この場合のL.は、命名者であるリンネの略です。命名者は斜体にしません。

更に細かい表示の規則

その他、さらに細かい説明を学名に入れる場合があります。その場合、省略した文字を入れて表します。多くみられるものは、3名法と呼ばれ、種の下位分類である、「ssp. / subsp.(亜種)」・「var.(変)」・「f.(品種)」です。その他、同意語を表す「syn.」や、雑種を表す「x」、ケモタイプを表す「ct.」があります。これらはすべて斜体にせず表示されます。

ssp. / subsp.

subspeciesの略で、亜種名を表します。亜種とは種として分類するほどの違いはないが、基本的な種とかなり違いがあるものを指します。例:プチグレン「Citrus aurantium L. ssp. amara

var.

variantの略で、変種名を表します。変種とは、基本的な種とあまり違いはないが、気候などの理由からはっきり違いがわかるものを指します。例:イリス「Iris germanica var. florentina

f.

formaの略で、品種名を表します。品種とは、基本的な種と殆ど変わりはないが、1,2点ほど違いがわかるものを指します。例:「Canaga odorata f. geniuna

syn.

synonymの略で、同意語を指します。例:ラベンダー「Lavandula angustifolia syn. L. officinalis

A × B

AとBの雑種を意味します。例:ラバンジン「Lavendula officinalis L. x L.latifolia Medikcus」

ct.

chemotypeの略で、ケモタイプを指します。ケモタイプとは、同じ学名の植物でも、育つ環境によって成分が異なったものです。化学分析して、化学的に何の成分が多いかを調べて初めて分かります。これらはケモタイプ種、化学種、ケモ種などと呼ばれます。例:タイムリナロール「Thymus vulgaris ct. linalool

よく見かける学名の意味

属名

Abies モミ属
Chamaemelum カミツレ属
Citrus ミカン属
Lavandula ラヴァンデュラ属
Matricaria シカギク属
Mentha ハッカ属
Pinus マツ属
Rosa バラ属
Thymus イブキジャコウソウ属

種名

aromatica 芳香を持つ
camphora 樟脳の
citratus ミカン属のような
citriodora レモンの香りがする
communis 普通の
damascena ダマスカスの
hybrida 雑種の
nobile 高貴な
nobilis 高貴な
odorata 非常に芳香のある
officinale 薬用の
piperita ハッカの香りの
rosaeodora バラの香りの
vulgaris 普通の

多肉植物などの園芸の場合

多肉植物などの園芸方面の表記の仕方はハーブと少し違う場合があります。属名+種名(種小名)までは同じですが、その下に続く園芸品種名を表記することがあります。園芸品種とは、基本の植物を交配させて人工的に作られた植物のことです。その場合、‘’でくくるか、cv.(cvs.)の後に園芸品種名を書きます。cvはcultivar の略です。

属名+種小名

一般的な学名の表記の仕方です。例: セダム(属)モシニアナム「Sedum mocinianum」

属名+種小名+’園芸品種名’

一般的な学名の表記の後に、園芸品種名が続く場合です。園芸品種名ではなく、園芸名をいう場合もあります。これは海外のものが日本に入ってきたときに名付けられた日本風の名前です。例: エケベリア(属)ピーコッキー‘デスメチアナ’「Echeveria peacockii ‘Desmetiana’」

属名+’園芸品種名’

種小名を省き、園芸品種名を表記する場合です。例:エケベリア(属)‘パーティードレス’「Echeveria ‘Party Dress’」

属名(+種小名)+cv. (+’園芸品種名’)

cv. を用いて園芸品種であることを表す場合です。園芸品種名や種小名は省く場合もあります。例:セダム(属)黄麗「edum cv.」




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