必須脂肪酸とは?種類、メカニズム、摂取方法、注意点などを徹底解説!

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必須脂肪酸とは

必須脂肪酸とは、人が生きていく上で必要な栄養素であるけれど、人の体内では生成されないので、外から摂らなければならない脂肪酸を総称したものです。必須脂肪酸は体内で様々に作用します。不足すると体調不良の原因となります。ここでは必須脂肪酸とは何か、その効能、不足するとどうなるか、体内での変換、摂取のポイントなどをお伝えしていきます。

目次

  1. 必須脂肪酸の種類
  2. 必須脂肪酸は何にいいの?
  3. 必須脂肪酸が不足すると何が起こる?
  4. 体内での必須脂肪酸のメカニズム
  5. 必須脂肪酸がつくり出す超重要なプロスタグランジン(PG)とは?
  6. 必須脂肪酸の効果を妨げてしまうもの
  7. 理想的な必須脂肪酸の摂取の仕方ポイント
  8. 理想的に必須脂肪酸が含まれる理想の油脂

 






 

 

必須脂肪酸の種類

リノール酸とα-リノレン酸の2種

必須脂肪酸は、リノール酸とα-リノレン酸の2種類になります。これらは私たちの体内で生成されることはありません。リノール酸はオメガ6系の必須脂肪酸、α-リノレン酸はオメガ3系の必須脂肪酸とも言われます。オメガに関しては下記で詳しく説明しています。

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広義の必須脂肪酸

リノール酸とα-リノレン酸は、体内に摂取されると他の脂肪酸へと変換されてきます。そこで生成される脂肪酸も含めて必須脂肪酸と言っている場合もあります。リノール酸から生成されるγ-リノレン酸アラキドン酸や、α-リノレン酸から生成されるEPADHAが含まれます。この変換の仕組みは下の項目で説明します。

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必須脂肪酸は何にいいの?

必須脂肪酸は「必須」と言われるように、私たちの体にとって欠かせない栄養素です。沢山の作用がありますが、具体的にどんな機能に関わっているか、例を挙げていきます。

細胞膜レベルへ作用

細胞膜への作用は人にとって欠かせないもので、あらゆる役割があります。そのため、細かい作用を全て挙げることはできませんが、主に下のようなことが挙げられます。※変性疾患とは、脳や脊髄にある細胞の一部が障害を受けることで起こる、パーキンソン病やアルルハイマー病などの病気の総称です。

  • 細胞膜の形成成分の一つになる
  • 腸管粘膜の不透過性を保つ(主に変性疾患の予防につながると言われている)
  • 中枢神経と脳の成長を助ける
  • 体温の調整をする

心臓や血管へ作用

心臓や血管へ作用するので、それに伴う動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを軽減します。

  • 心臓に有害な脂肪の代謝をする
  • 血栓症のリスクを下げる
  • 心臓血管疾患を予防する
  • コレステロール値を下げて組織の再生を促す
  • 血中中性脂肪値の低下
  • 不整脈の発生防止
  • 血管内皮細胞の機能改善
  • 血栓精製防止

肌への作用

必須脂肪酸は、美容のための商品にも沢山使われています。肌をキレイにしたり、老化を防止する作用があります。

  • 表皮を保護する
  • 肌の乾燥を防ぐ
  • 老化を防ぐ

生殖系への作用

  • 胎児が正常に発育するように母体を助ける

その他

  • 有害物質や環境、薬などの外部からの汚染から体を守る
  • プロスタグランジンを生成し、それに伴う各種作用に貢献する(プロスタグランジンの項目参照)

 

必須脂肪酸が不足したらどうなる?

反対に、必須脂肪酸が不足してしまうと、体に様々な不調を引き起こします。それは必須脂肪酸欠乏症とも言われます。

肌への影響

  • 皮膚の乾燥
  • 皮膚炎
  • 肌荒れ
  • ひび割れ
  • 老化促進
  • 怪我の治りの遅れ
  • 皮膚弾力性の低下
  • 湿疹
  • 脱毛など

心臓血管や神経系、免疫系の疾患

  • 動脈硬化
  • 血中コレステロールの増加
  • 高脂血症
  • 免疫障害(特に多発性硬化症)
  • 唾液腺の機能不全と涙小管の乾燥など

生殖器への影響

  • インポテンツ
  • 月経前症候群(PMS)など

小児への影響

  • 異常な喉の渇き
  • 喘息
  • 湿疹
  • 副鼻腔炎
  • 蕁麻疹
  • 風邪が引きやすくなるなど

炎症が原因の不調

  • 関節炎などの炎症
  • 皮膚炎
  • アレルギーなど

 

体内での必須脂肪酸のメカニズム

次に、必須脂肪酸が体内に入ると、どのように変換し、どのように作用するかを見ていきます。メカニズムを理解することで、より必須脂肪酸の役割を理解できます。

脂肪酸は体内で作用しやすいように変換していく

まず、油脂が体内に入ると、油脂を構成している脂肪酸がばらばらになります。そして、その脂肪酸が、体内の酵素などの働きによって違う脂肪酸へと合成されていきます。より不飽和化が進み(=二重結合が増え)、かつ炭素(C)が結合して大きくなります。つまり、体内で様々に作用しやすいようになります。

デサチュラーゼ:二重結合を増やす

脂肪酸のカルボシキル基[-COOH]末端に二重結合をプラスする酵素です。人間の体内にあるのは、△9デサチュラーゼ、△6デサチュラーゼ、△5デサチュラーゼ、△4デサチュラーゼの4種類です。△9デサチュラーゼというのは、脂肪酸のカルボシキル基[-COOH]末端から数えて9番目の炭素(C)のところに二重結合を作ります。△6デサチュラーゼも同じように末端から数えて6番目の炭素(C)のところに二重結合を作ります。※別にメチル基[-CH3]の末端に二重結合をふやす種のデサチュラーゼは、ω3デサチュラーゼなどと表します。

エロンガーゼ:炭素(C)を付加する

もうひとつ脂肪酸の合成に関与している酵素に、エロンガーゼというものがあります。脂肪酸に炭素(C)を付加します。一番末端に2つの炭素(C)を結合させることで、オメガの系統は変えずに、より大きな分子構造をもつ脂肪酸へと変化させます。オメガ脂肪酸の詳細に関しては下記をご覧ください。

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オメガ6系脂肪酸の合成

具体的にオメガ6系脂肪酸がどのように合成されていくかは下のようになります。

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1. リノール酸(C18H32O2) → γ-リノレン酸(C18H30O2

必須脂肪酸のリノール酸を摂取すると、△6デサチュラーゼにより末端から6番目の炭素(C)が二重結合になり、γ-リノレン酸になります。

2. γ-リノレン酸(C18H30O2) → ジモホ-γ-リノレン酸(C20H34O2

そこからエロンガーゼにより炭素(C)が2個プラスされ、ジモホ-γ-リノレン酸になります。ジモホ-γ-リノレン酸からはさらに脂肪酸の合成プロセスが進む一方で、プロスタグランジン(PG)という生理活性物質の一つであるPGE1も生成されます。PGE1は私たちの体にとても重要です。詳しい働きは次の項で説明しています。

3. ジモホ-γ-リノレン酸(C20H34O2) → アラキドン酸(C20H32O2

さらにジモホ-γ-リノレン酸から△5デサチュラーゼにより二重結合が増え、アラキドン酸になります。アラキドン酸からは、また別のプロスタグランジン(PG)である、PGE2が生成されます。PGE2は生成され過ぎるとよくない物質です。

4. アラキドン酸(C20H32O2) →ドコサテトラエン酸(C22H36O2

アラキドン酸から、さらに炭素(C)が2個プラスでドコサテトラエン酸が作られます。

5. ドコサテトラエン酸(C22H36O2) → ドコサペンタエン酸(C22H34O2

ドコサテトラエン酸から△4デサチュラーゼにより二重結合が増え、ドコサペンタエン酸になります。

 

オメガ3系脂肪酸の合成

オメガ3系も同じ原理で脂肪酸が合成されていきます。

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1.α-リノレン酸(C18H30O2) → ステアドリン酸(C18H28O2

必須脂肪酸のα-リノレン酸を摂取すると、△6デサチュラーゼにより末端から6番目の炭素(C)が二重結合になり、ステアドリン酸になります。

2.ステアドリン酸(C18H28O2) → エイコサテトラエン酸(C20H32O2

ステアリン酸からエロンガーゼにより炭素(C)が2個プラスされ、エイコサテトラエン酸になります。

3.エイコサテトラエン酸(C20H32O2) → エイコサペンタエン酸/EPA(C20H30O2

さらにエイコサテトラエン酸から△5デサチュラーゼにより二重結合が増え、EPAになります。EPAからはPGE3が生成されます。PGE3もPGE1と同じく体にいい働きをしてくれます。

4.エイコサペンタエン酸/EPA(C20H30O2) → ドコサペンタエン酸/DPA(C22H34O2

エイコサペンタエン酸から、さらに炭素(C)が2個プラスになりDPAが作られます。オメガ6系の合成でもDPAが生成されますが、二重結合の位置が異なり、異なるオメガになります。

5.ドコサペンタエン酸/DPA(C22H34O2) → ドコサヘキサエン酸/DHA(C22H32O2

DPAから、△4デサチュラーゼにより二重結合が増え、DHAになります。

 

プロスタグランジン(PG)とは?

プロスタグランジン(PG)は、生理活性物質で、わたしたちの細胞のすべての働き、体全体をコントロールしているとても重要なものです。必須脂肪酸を摂り入れるということは、このとても大切なPGを作り上げることにつながります。

超重要なPGE1

PGの中でもPGE1は、超プロスタグランジンとも言われ、細胞系や膜交換の調整など、ありとあらゆる範囲に作用し、これなしには私たちの代謝や生理学的機能は機能しません。この前駆体である必須脂肪酸を摂り入れるのが、いかに重要かが分かります。

避けるべきPGE2

同じプロスタグランジンの中でも、PGE2は炎症や自己免疫疾患全てに関わっているものです。そのため避けたほうがいいと言われています。これはアラキドン酸から生成されます。アラキドン酸やリノール酸の過剰摂取により、PGE2が多く作られ過ぎると、アレルギーなどの炎症を始めとした不調につながります。

プロスタグランジンの働き

  • 神経系(インパルスの伝達、神経伝達物質への作用など)
  • 脳血管系(コレステロールや高血圧の制御、血栓症防止、血管膨張、赤血球値のバランスなど)
  • 免疫系(自己免疫疾患の原因になるリンパ球の機能不全を防ぐなど)
  • 皮膚系(皮脂細胞に調整、ニキビ・湿疹・抜け毛・アレルギー・浮腫・乾癬・爪割・保湿・シワなどを防ぎます。)
  • 生殖系(月経前症候群の緩和など)

 

必須脂肪酸の変換を妨げるもの

必須脂肪酸は体内で作用しやすいように、他の脂肪酸へと変わったり、重要なPGへ変換したりしていくことが分かりました。理論上はそのように変換するのですが、様々な要素でそれらの体にとって重要な変化が妨げられてしまいます。必須脂肪酸をきちんと吸収できるように、マイナスな要素をまとめています。

α-リノレン酸の変換より、リノール酸の変換が優先される

リノール酸においても、α-リノレン酸ににおいても、体内に入ってから次の脂肪酸に変換するために必要な酵素は△6デサチュラーゼです。同じように入ってくると、その△6デサチュラーゼは、リノール酸の変換の方を優先します。リノール酸を過剰に摂取してしまうと、α-リノレン酸を変換する△6デサチュラーゼが足りなくなり、α-リノレン酸から生成されるオメガ3系の大切なDHAやEPAが出来にくくなってしまいます。そのため、α-リノレン酸とリノール酸のバランスが大切です。リノール酸の過剰摂取は避けなければなりません。

リノール酸からγ-リノレン酸への変換は妨害されやすい

リノール酸からγ-リノレン酸へ変換するには、△6デサチュラーゼの働きが重要ですが、ここで色々なものがその働きを妨害してしまいます。トランス脂肪酸、飽和脂肪酸、コレステロールの摂りすぎ、老化、ウイルス性疾患、アルコール中毒、電離放射線などが挙げられます。また、マグネシウム・B6・亜鉛・インスリンは△6デサチュラーゼの働きを助けるので、これらの不足もよくないです。γ-リノレン酸が作れないということは、体にとても重要なPGE1の生成を妨害していることにつながってしまいます。そのため、直接γ-リノレン酸が豊富な油脂を摂取することも大切です。イブニングプリムローズ油とボリジ油が挙げられます。

α-リノレン酸から生成されるDHAやEPAは少ない

α-リノレン酸から生成される脂肪酸に、生命活動に重要なDHAやEPAがありますが、これらは実際α-リノレン酸から10-15%しか生成されません。これだと一日の摂取量を満たせない可能性があるので、DHAやEPAは直接魚などから摂取することも大切です。DHAとEPAの合計が一日1gほどが理想と言われています。

PGE2を作るアラキドン酸、リノール酸の過剰

体のよくない影響を与えるPGE2は、リノール酸の過剰によってそれに続くアラキドン酸が過剰に生成されることで起こります。また、アラキドン酸は動物性の油脂に多く含まれていて、それらの油脂から直接取り入れることで過剰になる場合もあります。どちらにしろ、アラキドン酸の過剰がPGE2の生成に影響します。動物性の油脂は飽和脂肪酸も多いので、飽和脂肪酸の摂りすぎは前述したようにPGE1の生成を防ぐことにもつながります。

 

理想的な必須脂肪酸の摂り方のポイント

このように見てくると、必須脂肪酸はただ摂るのではなく、体内できちんと変換されるように摂取しないとダメ、ということが分かります。必須脂肪酸は、量ではなく、摂取の方法が非常に重要なのです!これらを踏まえた摂取のポイントをまとめました。
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1.リノール酸とα-リノレン酸の摂取量を守る

厚生労働省では、α-リノレン酸の理想の摂取量を一日約1.2g以上としています。リノール酸は、日本人の摂取量が多いので、厚生労働省では上限しか設定していません。上限は22~30gとしています。国際的な機関では、一日4~5gの摂取が理想としています。かつ、オメガ3系脂肪酸全体とオメガ6系脂肪酸全体の摂取量のバランスが、1:1~1:5が理想とされています。

  • ω3:ω6 = 1:1 ~ 1:5
  • リノール酸の摂取量:4~5g/1日
  • α-リノレン酸の摂取量:1.2g以上/1日(ω3トータル:約2g以上/1日)

2.γ-リノレン酸・DHA・EPAは不足を補うために直接摂取する

様々な要因から、必須脂肪酸の合成がうまくいかない場合もあるので、前項でお伝えしたように、リノール酸とα-リノレン酸だけでなく、合成途中のγ-リノレン酸・DHA・EPAなどを直接補給することも大切です。γ-リノレン酸が含まれる油脂の代表はイブニングプリムローズ油とボリジ油です。DHA・EPAは青魚に多く含まれています。厚生労働省では、DHAとEPAは合計で一日1g以上摂れることが理想とされています。

DHA+EPAの摂取量:約1g以上/1日

3.飽和脂肪酸を摂りすぎない

飽和脂肪酸は、動物性の油脂と、一部の植物性油脂(ココナッツオイルやパーム油)に多く含まれています。飽和脂肪酸の摂りすぎは、必須脂肪酸の合成を妨げるだけでなく、動脈硬化などの様々な疾患の原因にもなるので、気をつけます。理想の摂取量は総エネルギーの4.5%~7%です。

飽和脂肪酸の摂取量:総エネルギーの4.5%~7%

4.トランス脂肪酸を摂りすぎない

トランス脂肪酸は、多くの精製油と、加工されたマーガリンなどに含まれます。リノール酸やα-リノレン酸が豊富な油脂でも、精製油であれば、それが一部トランス化しています。これら必須脂肪酸の合成を妨げ、かつその他の疾患にもつながるので避けます。上限は総エネルギー量の1%未満で、摂らなければ摂らない方がいいです。

トランス脂肪酸の摂取量:総エネルギーの1%未満

5.マグネシウム・B6・亜鉛を適度に摂る

これらは△6デサチュラーゼの働きを促進し、γ-リノレン酸を生成しやすくします。その結果PGE1の生成もスムーズにいきます。ビタミンB6の一日摂取量は約1~1.4mg、マグネシウムは約270~250mg、亜鉛は約9~12mgになっています。

  • ビタミンB6の摂取量:約1~1.4mg/1日
  • マグネシウムの摂取量:約270~250mg/1日
  • 亜鉛の摂取量:約9~12mg/1日

 

必須脂肪酸が理想的に含まれるの植物油脂

これらの条件を満たす理想的なものは、やはり不飽和脂肪酸がメインの植物油脂です。トランス脂肪酸が含まれていない、「一番搾り・低温圧搾法・未精製」のものを選ぶことが大切です。かつ、オメガ3とオメガ6のバランスが理想の1:1~1:5になっているものは下記になります。

植物油 ω3 :ω6 α-リノレン酸(100g中) リノール酸(100g中)
くるみ油 1:5 約10.4g 約53g
シーバックソーンオイル(種) 1:1 約34g 約32g
シーバックソーンオイル(コンプリート) 1:1 約15g 約13g
ストロベリーシードオイル 1:1.2 約35g 約43g
パンプキンシードオイル 1:3.2 約15g 約48g
ブラックカラントオイル 1:3.5 約17g 約60g
プルーンシードオイル 1:4 約5g 約20g
ヘンプシードオイル 1:3.5 約17g 約60g
ラズベリーシードオイル 1:1.9 約29g 約55g
ローズヒップオイル 1:1.2 約36g 約44g

殆どの日本人食生活は、リノール酸の摂りすぎで、α-リノレン酸が足りなくなりやすいです。α-リノレン酸がより多めの油脂は下記になります。

植物油 α-リノレン酸(100g中) リノール酸(100g中)
亜麻仁油 約53g 約14g
インカインチオイル 約48g 約37g
えごま油 約63g 約13g
カメリナオイル 約39g 約18g
キウイシードオイル 約62g 約16g
チアシードオイル 約59g 約19g
ライムシードオイル 約42g 約19g

 

 

 

次はこれを要チェック

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