この世界はどのようにしてできた?|ヨーガ・アーユルヴェーダ・インド哲学

タットヴァボーダ No.45-54

ヨーガやアーユルヴェーダの理論のもととなっているインド哲学「ヴェーダ」の起源は約5000年前にさかのぼります。宇宙の法則、私たちが生きている世界の本質が詰まっています。その一部をわかりやすく初心者用に説明しているものがタットヴァボーダ(Tattva Bodha)です。ヨーガ、アーユルヴェーダのもととなる基本的な考え方を理解するにあたって、とても重要です。このサイトでは、そのタットヴァボーダの内容をサンスクリット語の訳に沿いながら説明しています。グリーンで囲われている部分がサンスクリット語の日本語訳です。ここでは45章から54章にあたる、この世界はどのようにできたかの説明しています。タットヴァボーダの全体像について知りたい場合は下記をご覧ください。

目次(45章~54章)|この世界はどのようにしてできた?

サットヴァの側面から生まれたもの

ラジャスの側面から生まれたもの

タマスの側面から生まれたもの

 






 

この世界はどのようにしてできた?

これまでのタットヴァボーダの内容とのつながりを復習します。まず、タットヴァボーダのテーマがあり、それを学ぶために必要な資質を説明しました。そしてタットヴァボーダの一番のテーマである、アートマー(自分自身、真我)にはどんな特徴があるのかを15,16章説明し、17章以降はその特徴を1つずつ詳しく説明していきました。43章からは、宇宙の構造の話になります。仕組みはどのようになっていて、どのようにできたのかを説明していきます。

No.45 |はじめに現れた五大元素

そのマーヤーの質から空間(空)が生まれ、空間(空)から空気(風)、空気から火、火から水、水から地(土)が生まれました。

解説

44章で説明したマーヤーから、この世界にまず五大元素が生まれました。つまり、ブランマンにマーヤのサットヴァ、ラジャス、タマスという性質が加わることによって、この世界が生まれます。ここでいう五大元素は、私たちの肉体を構成している可視化された五大元素ではありません。まだ見えていない、とても微細な5大元素です。この世界ができるプロセスは、微細なものから始まり、どんどん粗雑化され、可視化されたものができていきます。微細さは、どれほど広くに浸透しているか、どれだけ性質を持っているかで測れます。より広がっていれば、より微細です。また、性質が少ないほど微細です。真実が一番微細です。真実は性質が無く、すべてに浸透していて、どんな知覚の認識からも超越しています。

空(空間)の誕生

五大元素の中でも、空(空間)が一番初めに作られました。空は五大元素の中で一番微細です。空間が無ければ何も存在することができません。そして空は音の質を持ちます。音は空間という媒体を移動し、空間は音を内在します。

風(空気)の誕生

空から風(空気)が生まれました。空より微細でなくなります。空で生まれた音の質をそのまま持ち、さらに触覚の質をもちます。風は肌に触れる感覚があるように、触覚はここで生まれました。そして聞くことと触れることに関連します。

火の誕生

風(空気)から火が生まれました。風より微細でなくなります。音、触覚、色(形)の質を持ちます。そして聞くこと、触れること、見ることに関連します。

水の誕生

火から水が生まれました。さらに微細でなくなります。音、触覚、色(形)、味の質を持ちます。そしてそして聞くこと、触れること、見ること、味わうことに関連します。

土の誕生

最後に水から地(土)が生まれました。一番微細でなく、広がりが少ない元素です。音、触覚、色(形)、味、香りの質を持ちます。そして聞くこと、触れること、見ること、味わうこと、嗅ぐことに関連します。

五大元素のまとめ

空(空間) 聞く
風(空気) 音、触覚 聞く+触る
音、触覚、形と色 聞く+触る+見る
音、触覚、形と色、味 聞く+触る+見る+味わう
地(土) 音、触覚、形と色、味、香り 聞く+触る+見る+味わう+嗅ぐ

真実はすべてに浸透している

物質の原因は、創造物と切り離されることはありません。マーヤーは五大元素の物質的原因です。そのため、マーヤーの3つの性質は五大元素に浸透しています。これまで見てきたように、物質の本質的な原因は、真実(ブランマン)のみです。そのため、真実は五大元素にも浸透しています。

ここでの五大元素への分離のとき、マーヤーの3つの性質(サットヴァ、ラジャス、タマス)は、まだ可視化していなく、均衡な状態です。この状態はコーザルボディーの世界に含まれます。この3つのバランスが崩れることによって、世界の創造の工程が次の段階になります。

 

サットヴァの側面から生まれたもの

サットヴァの側面から、5つの感覚器官の知識と、アンタカラナム(内的器官、内側の道具)が生まれました。5つの感覚器官の詳細でも述べているように、ここでいう感覚器官は、まだ可視化されていない世界のことを指しています。

No.46 |5つの感覚器官への進化

五大元素のうち、空間のサットヴァの側面から聞く器官である耳が進化しました。空気のサットヴァの側面から触れる器官である肌が進化しました。火のサットヴァの側面から見る器官である目が進化しました。水のサットヴァの側面から味わう器官である舌が進化しました。地のサットヴァの側面から匂いを嗅ぐ器官である鼻が進化しました。

解説

サットヴァのメインの特徴は「知識」です。そのため、各五大元素のサットヴァの側面は、「知識」と関連しています。例えば、空(空間)は45章で述べたように音の質を持ちました。その音の知識は、「耳」を通じて得ることができます。そのため、空のサットヴァの側面からは耳が生まれます。同じように、空気(風)に対応する触覚の知識は「肌」を通じて得ることができます。火に対応する形と色の知識は「目」から、水に対応する味の知識は「舌」から、地に対応する香りの知識は「鼻」から得ることができます。

 

No.47 |内的器官への進化

五大元素のサットヴァの側面から、内的器官であるマインド、知性、エゴ、記憶が作られました。

解説

5つの感覚器官は、外側の対象物の知識を受け取る道具です。耳は音の知識を受け取る道具です。しかし、内的器官は、感覚を受け取り、過去の経験に基づき認識し、感覚に反応を命じます。内的器官は世界に直接コンタクトできません。必ず感覚器官を通じ無ければなりません。感覚器官もまた、内的器官の刺激なしに機能しません。このように、感覚器官と内的器官は密接な関係があります。そのため、サットヴァの側面からは感覚器官と内的器官が一緒に生まれます。

 

No.48 |内的器官の特徴

マインドは優柔不断の本質を持ち、知性は決断の本質を持ち、エゴは行為者の概念を持ち、記憶は考えることと思い出すことの本質を持ちます。

解説

内的器官は、一般的には心と一言で言い表せます。1つの心ですが、マインド、知性、エゴ、記憶の4つの特徴があります。特徴についてはアンタカラナムのページをご覧ください。

 

No.49 |内的器官の神

マインドを司る神はチャンドラ、知性はブランマ神、エゴはルドラー、記憶はヴァースデーバです。

解説

感覚器官や行動器官の説明でもあったように、各内的器官にも司る神がいます。

 

ラジャスの側面から生まれたもの

ラジャスの側面から、5つの行動器官の知識と、5つのプラーナが生まれました。5つの行動器官の詳細でも述べているように、ここでいう行動器官は、まだ可視化されていない世界のことを指しています。

No.50 |5つの行動器官への進化

五大元素の空間のラジャスの面から、話す器官である舌が作られました。空気のラジャスの面から、掴む器官である手が作られました。火のラジャスの面から、移動する器官である足が作られました。水のラジャスの面から、排泄する器官である肛門が作られました。地のラジャスの面から、繁殖の器官である生殖器が作られました。

解説

ラジャスのメインの特徴は「行動」です。そのため、そこでそのアクションが起こっていたとしても、行動に絡んだものはマーヤーのラジャスの側面から来ています。行動器官は、肉体を動かすことで世界に反応します。空の質である「音」は、感覚器官の耳を使い知覚します。それを行動器官の「舌」を使って話すことで反応します。

 

No.51 |プラーナへの進化

5大元素のラジャスの側面から、5つのプラーナが作られました。

解説

そして、プラーナは、体のすべての機能にエネルギーを与えます。プラーナの働きがないと、行動器官を機能させることはできません。このように密接に関連しているので、ラジャスの側面では行動器官とプラーナが一緒に生まれています。

可視化されていない五大元素が初めて現れた状態では、サットヴァ、ラジャス、タマスが均衡でした。まだ何も現れる前の原因の状態、つまりコーザルボディー(コーザルの世界、原因の世界)でした。サットヴァ、ラジャス、タマスのバランスが崩れ、そのサットヴァの側面、ラジャスの側面から感覚器官、行動器官、内的器官、プラーナが生まれました。この状態でもまだ可視化はされていなく、サトルボディー(サトルの世界、かすかな世界)になります。

 

ここまでのまとめ

※ここでは「水」に肛門ー排泄が対応し、「地」に生殖器ー出産が対応していますが、文献によっては逆に説明されている場合もあります。

 

タマスの側面から生まれたもの

タマスの側面から、ついに可視化された世界が現れます。

No.52 |顕在化したものへの進化

5大元素のタマスの側面から、5つの顕在化した五大元素が作られました。

解説

タマスのメインの特徴は「慣性」です。自力で変化することはありません。五大元素のタマスの側面が次のようなプロセスを踏んで顕在化した世界を作っていきます。顕在化した世界が一番鈍く、荒い世界、つまりタマスの世界です。

 

No.53 |パンチーカラナの起こり方

どのようにパンチーカラナが起こったかと聞かれるならこのようになります。

  1. 5大元素のタマスの側面が二分割される
  2. 分割されたうちの半分は、そのまま残る
  3. もう半分はさらに4つに分割される
  4. その4分割に、ほかの元素が分配される
  5. これでパンチーカラナの工程は完成される

解説

顕在化へのプロセスをパンチーカラナといいます。それを表した図が下記になります。このように、可視化された世界の五大元素は、100%純粋な五大元素ではありません。例えば、お米は炭水化物ですが、実際はたんぱく質やミネラルなどほかの栄養素も含まれます。水といっても、100%純粋な水ではありません。五大元素も同じく、「火」といっても、大部分を占めているというだけで、他の元素が含まれます。

パンチーカラナのプロセス

 

No.54 |肉体への進化

顕在化した5大元素から、肉体が形成されます。

解説

このようなプロセスを経て可視化された五大元素から肉体はできています。

 

 

続きの章からは、個人と神の違いの説明をしていきます。

 

 

次はこれを要チェック

 

 

 

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『VEDANTA BOOK OF DEFINITIONS』 Swami Tejomayananda

 

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