Yoga

永遠のものと永遠でないものを知る|ヨーガ・アーユルヴェーダ・インド哲学

タットヴァボーダ No.15-16

ヨーガやアーユルヴェーダの理論のもととなっているインド哲学「ヴェーダ」の起源は約5000年前にさかのぼります。宇宙の法則、私たちが生きている世界の本質が詰まっています。その一部をわかりやすく初心者用に説明しているものがタットヴァボーダ(Tattva Bodha)です。ヨーガ、アーユルヴェーダのもととなる基本的な考え方を理解するにあたって、とても重要です。このサイトでは、そのタットヴァボーダの内容をサンスクリット語の訳に沿いながら説明しています。グリーンで囲われている部分がサンスクリット語の日本語訳です。ここでは15章から16章にあたる、永遠のもの、永遠でないものとは何か?の部分を説明しています。タットヴァボーダの中で一番難しいですが、一番大切なところとも言えます。タットヴァボーダの全体像について詳しく知りたい場合は下記をご覧ください。

インド・ヨーガ哲学

目次(15章~16章)|永遠のもの、永遠でないものとは?



永遠のもの、永遠でないものとは?

No. 15|真理の探究とは?

真理の探究とは何でしょうか?アートマー(意識、自分自身)のみが実在するもので、それ以外は実在しないものであるということを、強く確信することです。

解説

アートマーは、意識、自分自身、真我とも訳されます。自分そのものです。アートマーのみが実在するものと言っていますが、実在するものと実在しないものの違いは何でしょうか?

実在するもの(サッティヤム)と実在しないもの(ミッティヤー)について

サッティヤム

この世に実在するもの(アートマー)はサッティヤムです。サッティヤムとは、何にも頼らず存在できるもののことを言います。物質、時間、場所、何にも頼らず存在します。時間の制限がない永遠のもの、場所の制限もないどこにでも存在するものです。

ミッティヤー

この世に実在しない、アートマー以外のものはミッティヤーです。ミッティヤーとは、何かに頼らないと存在できないもののことを言います。

サッティヤムとミッティヤーの例

海 vs 水

海を思い浮かべて見てください。海は本当に「海」でしょうか、それとも「水」でしょうか?海は水である、と言えますが、水は海であるとは言えません。海は水がないと存在できませんが、水は海が無くても存在できます。川も雨もプールも水です。この場合、海は水を表す一つの概念であって、水がないと存在できません。つまり、海はミッティヤーであり、実在しないものになります。海と水の関係性だけを考えると水がサッティヤムです。

水 vs 分子

それでは水を見ていきます。水は「水」でしょうか?H2Oという「分子」が組み合わさったものでしょうか?水は分子の集まりであるといえますが、分子の集まりは水であるとは言えません。分子の集まりによって、全ての物質はできています。つまり、水は特定の分子の集まりの一つの概念であって、分子がないと存在できません。そのため、ミッティヤーであり、実在しないものになります。水と分子の関係だけをみると、分子がサッティヤムになります。そうなると、全ての物質は、水と同じように分子の集合体であるため、ミッティヤーです。

分子 vs 原子

それでは、分子はどうでしょうか?分子は「分子」か、それとも「原子」が組み合わさったものでしょうか?これも同じように、分子は原子がないと存在できません。分子は原子が集まったときにできる概念であり、ミッティヤーです。さらに原子も原子核と電子がないと存在できないのでミッティヤーとなります。このように今発見できる一番小さい素粒子まで、進めることができます。

素粒子

では素粒子とは何でしょうか?今わかっていることもありますが、まだ判明していない部分もたくさんあります。こんなものではないか、という「概念」です。概念とは、何かに定義されることによってしか存在できません。その「何か」が永遠に変わらず、何にも頼らず存在する真我、意識であり、アートマーです。常に「概念」の目撃者です。ここまでくるとアートマーのみがサッティヤムであるということがなんとなく理解できるかと思います。

天国

上の例で、物質的なものは全てミッティヤーであることが説明できますが、天国はどうでしょうか?サッティヤムは、物質的な面だけでなく、場所や時間などを含めて何にも頼らず存在します。そのため、「死んだ後」の世界など表現されるように、時間に制限がある時点でミッティヤーになります。そして、死んだ後の世界という「概念」でもあるので、アートマーに頼らないと存在できません。

タットヴァボーダは、このアートマーとは何か?つまり真我、意識、自分自身とは何か?の知識を学ぶものです。これ以降の章では、そのアートマーとは何か?自分自身とは何か?の説明をより詳しく説明していきます。

No. 16|アートマーとは?

アートマーとは何でしょうか?グロスボディ、サトルボディ、コーザルボディ以外のもので、5つのレイヤー(鞘、包み)を超越し、3つの状態を目撃するものであり、存在、意識、至福の性質があるものです。

解説

前の章で、アートマーのみが実在するものであり、そのほかはすべて実在しないものと分かりました。では、アートマーの特徴は何なのでしょうか?それをまとめたものがこの章です。各特徴の詳細はその次からの章で説明されていきます。

アートマーの特徴

3つの体以外のもの

  1. グロスボディ(肉体)
  2. サトルボディ(サトル体)
  3. コーザルボディー(コーザル体)

3つの体について

5つのレイヤーを超越したもの

  1. アンナ・マヤ・コーシャ
  2. プラーナ・マヤ・コーシャ
  3. マノー・マヤ・コーシャ
  4. ヴィグニャーナ・マヤ・コーシャ
  5. アーナンダ・マヤ・コーシャ

体の5つのレイヤーについて

3つの状態を目撃するもの

  1. 起きている状態
  2. 夢を見ている状態
  3. 深い眠りの状態

3つの経験について

3つの性質があるもの

  1. サット(存在)
  2. チット(意識)
  3. アーナンダ(至福)

アートマーの3つの性質

続きの章からは、グロスボディー、サトルボディ、コーザルボディの説明をしていきます。

3つの体について




次はこれを要チェック

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『VEDANTA BOOK OF DEFINITIONS』 Swami Tejomayananda