Essay

土星と木星のグレートコンジャンクション|インド占星術を通じて読み解く

風の時代が来たとよく耳にしますが、それは西洋占星術からの解釈で、星座の位置が異なるインド占星術ではまた違う解釈になります。違う視点からの解釈もとても参考になると思いますので、ぜひインド占星術からの時代の変換も、これからの生き方のヒントにしてみてください。

目次

グレートコンジャンクションとは?

  1. 惑星と星座の仕組み
  2. 4つのエレメントに分けられる星座
  3. なぜインド占星術と西洋占星術はずれるのか
  4. なぜ土星と木星のコンジャンクションはすごいのか
  5. グレートコンジャンクションと時代の分類

インド占星術から読み解くグレートコンジャンクション

  1. ヴェーダの哲学とリンクさせる
  2. 4つのテーマ
  3. 3つのエネルギー
  4. 今は何の時代?
  5. 火の時代で起こっていたこと
  6. 地の時代で起こっていること
  7. 風の時代で何が起こる?

グレートコンジャンクションとは?

まずグレートコンジャンクションと言われるものは何なのか?説明していきます。

惑星と星座の仕組み

太陽系は、太陽を中心に円を描くように惑星が動いていますが、私たちが星読みをするときの一番基本的な見方は、地球を中心として、360°の空を星座の12個で均等に分割しています。地球から見ると、惑星たちはその星座の位置をひとつ一つ移動しながら、地球の周りをまわっています。各惑星は移動速度が違うので、ある期間一緒の星座の場所にいたり、違う時は反対側にいたり、、などをして色々な位置のコンビネーションを作っています。コンジャンクションとは、2つ以上の惑星が同じ星座の場所にいることを言います。グレートコンジャンクションとは、土星と木星が同じ星座に位置していることを特別に名付けて言っています。

4つのエレメントに分けられる星座

12星座は4つのエレメントに分けられます。

  • 火・・・おひつじ座、しし座、いて座
  • 地・・・おうし座、おとめ座、やぎ座
  • 風・・・ふたご座、てんびん座、みずがめ座
  • 水・・・かに座、さそり座、うお座

コンジャンクションがどの星座で起きているか、そしてその星座がどのエレメントなのかが重要になってきます。西洋占星術だと、今回のコンジャンクションがみずがめ座=「風」のエレメントで起きているので風の時代と言われています。インド占星術では、やぎ座の「地」のエレメントで起きています。

なぜインド占星術と西洋占星術とずれるのか?

インド占星術と西洋占星術は同じ天体を見ていますが、概念が違うので星座がズレます。西洋占星術は、星座の位置はどんな時も決まっています。春分点を牡羊座の始まりとします。一方で、インド占星術は、実際の星座の配置を厳密に読み取ります。何千年も前は、西洋占星術もインド占星術もズレが無かったのですが、地球には歳差運動というものがあって、少しずつ星座の位置がずれてきました。占星術が始まってから何千年も経つとそのズレが大きくなり、今では1星座弱のズレがあります。上の図で言うと、青く塗られているところが12星座のはじまりのおひつじ座になります。そのため、自分は○○座です!という時、実際の星座の位置で見るインド占星術では一個前の星座になることが殆どです。西洋占星術とインド占星術は星の読み取り方も違うので、どちらが正しいというよりかは、2つの視点があると考えると良いと思います。

なぜ土星と木星のコンジャンクションはすごいのか?

惑星のコンジャンクションは頻繁に起こっていますが、なぜ土星と木星のコンジャンクションはこんなにも騒がれるのでしょうか。

ゆっくり動く

土星と木星は比較的ゆっくり動く惑星です。土星は約29年で星座を一周し、木星は約12年で一周します。ゆっくり動くということは、一度ある星座の位置に入ると、そこに滞在する時間が長いです。つまりそこのテーマに与える影響が強くなります。そのゆっくり動く二つが一緒になって一定の期間いることは、とても強い影響を与えます。このコンジャンクションは約20年に一度起こり、一度起きると一年くらいは続きます。(逆行などで一度コンジャンクションが解除されることもあります。)

正反対のエネルギー

さらに、土星と木星は反対のエネルギーを持っています。木星は広がるエネルギー。土星は内なる気づきのエネルギーです。その二つが一緒にいると、激しいエネルギーが生まれます。向かい風で走っている時と追い風で走ってる時を思い浮かべてみてください。向かい風の時は、動きが激しい風を感じると思います。そのようなエネルギーの強い流れが生まれるため、土星と木星のコンジャンクションは毎回時代を変えるインパクトを与えます。

グレートコンジャンクションと時代の分類

このコンジャンクションはただ約20年に1回起こるものではなく、もっと大きな視点でとらえることができます。

200-250年のサイクル

20年のコンジャンクションのサイクルは、毎回12星座のどこかで起こっていますが、200-250年間は、同じエレメントで起こり続けます。(厳密に言うと、200-250年のサイクルの始まりと終わりは前後のエレメントが混ざり行ったり来たりしますが。)そのため、一回火のエレメントでのコンジャンクションが始まると、それが200-250年続き、それが終わると地のエレメントでのコンジャンクションに移ります。風の時代というのは、この大きい流れの変換の時でもあったので、注目されました。インド占星術でいうと1900年代から地の時代が始まりました。

900-1000年のサイクル

更に大きな視野でみると、4つのエレメントを一周するのに900-1000年かかります。一周終わると、また新しい次元で新しい一周が始まります。

約3000年のサイクル

さらに、コンジャンクションが12星座一周するのには3000年というサイクルがあります。

インド占星術から読み解くグレートコンジャンクション

ここまでのグレートコンジャンクションの理論は、星座とハウスの位置のズレがあるだけで、西洋占星術もインド占星術も考え方は殆ど同じだと思います。(星座とハウスの位置のズレにより、コンジャンクションが起こる日にちのズレも少なからずあります。)これ以降の解釈がインド占星術を通じた独特なものになると思います。インド占星術の理論を参考にしていますが、私独自の解釈となります。

ヴェーダの哲学とリンクさせる

インド占星術、アーユルヴェーダ、ヨガは全て同じヴェーダという哲学の一つです。ヴェーダは、私の感覚では、地球で楽しく生きるための取扱説明書と感じています。ヴェーダの中には宇宙の不変の法則についても述べられていますが、地球独特な考え方も含まれています。私たちは無限の宇宙の中で、ピンポイントに今地球で生きる選択をしています。その地球の個性を理解し、楽しく過ごすためのコツを教えてくれるのがヴェーダです。

4つのテーマ

ヴェーダの中にある言葉の一つにこのようなものがあります。私たちが地球に来て、一生を過ごす目的を端的に表しています。アーユルヴェーダやヨガでは有名なマントラと言われるものの一つです。

Dharma(ダルマ)・ Artha(アルタ)・ Kama(カーマ)・ Moksha(モークシャ)

奥が深いので、簡単に説明することは難しいですが、ダルマは調和、アルタは富、カーマは欲、モークシャは解脱、などと訳されます。周りに調和した自分の役割を全うしながら富を得て、欲望を叶える。そして最後は欲望からも解放された解脱へ到達することというような解釈がされています。詳しく知りたい場合は下記の記事をご覧ください。

アーユルヴェーダの歴史

Dharma(ダルマ)

コンジャンクションの説明をするために、私の解釈をさせていただきます。まず、私たちはみんなひとつの意識です。いろいろな体験をするためにその意識から派生して、とてもとても細分化された「個」を体験できるのが地球です。ひとつの意識であることは変わりませんが。まずは、その「個」である「私」を感じて、地球でどんな個性を体験したいか、を見つけるのが「ダルマ」に当たります。宇宙と地球の法則に沿りながら、「個」である光を学びます。

Artha(アルタ)

次に、「アルタ」のステップがあります。すべてはエネルギーであるといっても、地球では見えるものと見えないもの、触れられるものと触れられないものを区別し、体験することができます。そして、一定の時間の流れと空間を経験できます。この地球独特な物質、肉体、時間、空間といった三次元の世界観を楽しむことが「アルタ」です。

Kama(カーマ)

「カーマ」は、地球独特なダルマとアルタを楽しみながら、自分の満足感を楽しむステップです。カーマは欲と訳されるように、幸福感や精神的な満足感などが含まれます。そういった目に見えない感覚的な部分は、地球以外でも体験できますが、ここではダルマとアルタをふまえたうえでの幸せを楽しむ経験をすることが大切です。

Moksha(モークシャ)

そして最後の「モークシャ」は、地球にいながら、また一つの意識に戻っていく体験をすることです。そして、この人生のテーマが時代にも反映され、火、地、風、水の4つのエレメントに対応していきます。

3つのエネルギー

Rajas(ラジャス)・ Tamas(タマス)・ Sattva(サットヴァ)

ヴェーダの中のエネルギーの概念で、ラジャス、タマス、サットヴァというものがあります。簡単に言うと、ラジャスは破壊、タマスは維持、サットヴァは創造、の三位一体のエネルギーです。12星座はこの3つにも分けられます。どのエネルギーの傾向がある星座でコンジャンクションが起こっているかで、その特徴が分かります。

  • ラジャス・・・おひつじ座、かに座、てんびん座、やぎ座
  • タマス・・・おうし座、しし座、さそり座、みずがめ座
  • サットヴァ・・・ふたご座、おとめ座、いて座、うお座

3つのエネルギーの詳しい説明は下記をご覧ください。

3つのグナ

今は何の時代?

やぎ座、地のエレメント、ラジャスのエネルギー

インド占星術の観点からの時代の変換を見ていきます。今は、火の時代が終わり、地の時代に入ったところです。このエレメントの入れ替わりはきれいに始まりと終わりがあるわけではなく、はじめと終わりは2つのエレメントが混在する時代があります。1900年代から今回の地の時代が初めて到来しました。その後2000年に、最後の火のコンジャンクションが起き、完全に火の時代が終わりました。そして、2020年のコンジャンクションはやぎ座で起こり、完全に地の時代に入りました。その後100年以上地の時代が続きます。(途中次のエレメントの風も入ります。)今回の2020年から始まったコンジャンクションの期間を細かくまとめるとこのようになっています。西洋占星術でみる日付とは違いがあります。

  • 2020/3/30 – 2020/7/1
  • 2020/11/21 – 2021/4/6
  • 2021/9/15 – 2021/11/21

火の時代で起こっていたこと

今の時代を解釈するために、1つ前の火の時代から流れを見ていきましょう。

内なる光の時代

火の時代は18世紀(1700年代)から始まりました。このころは世界は啓蒙の時代と呼ばれる時代でした。聖書や神学といった従来の権威を離れ、「知」によって世界を把握しようと変わっていきました。アメリカの独立、産業革命、フランス革命、自由主義、ナチュラリズムといったキーワードがこの時代の特徴です。火の時代というのは、先ほどのヴェーダ哲学の4つの要素に当てはめてみると「Dharma(ダルマ)」に当たります。ダルマは先程述べたように、地球で「個」である光を体験するのを楽しむことを言います。つまり、この時代の人にとって必要だったことは、自分の中の火=光を思い出して楽しむことです。啓蒙の時代は英語では「The Age of Enlightenment」と言いますが、Enlightenmentの語源をたどっていくと光そのものと分かります。ここで私たちは、神様や宗教も大切ですが、自分自身が宇宙の法則に沿って輝くことも同じように大切なこと、を学んでくれたのだと思います。

最後の火のコンジャンクション

そして最後の火のコンジャンクションは2000年に始まりました。この時は火のエレメントというだけでなく、ラジャスという激しいエネルギーを持った牡羊座でコンジャンクションが起きました。その象徴は同時多発テロです。出来事はとても衝撃でしたが、それこそ世界中の人が、色々な立場から、ひとりひとりの火=光について考えさせられた瞬間だったのではないかと思います。

地の時代で起こっていること

三次元を楽しむ

地の時代は1900年代から始まりました。ヴェーダ哲学の4つの要素に当てはめると「Artha(アルタ)」にあたります。ダルマをベースに、地球独特の物質、時間、空間の世界を楽しむ時期です。(ここでの三次元の意味は、物質、空間、時間がある世界という意味です。)ヨガなどをやっていると、贅沢はしてはいけないようなイメージを持つ場合もありますが、物質的な喜びも楽しむようにヴェーダの中には明記されています。

地球への感謝

私たち人間が三次元を楽しむために欠かせない一番大事なものは地球です。地球自体がないと地球での体験ができませんね。地の時代が来てから初めて、私たちは地球を大切にし始めました。石油、温暖化、ゴミの問題などに気づき、あらゆる地球に関する組織や財団ができました。地球や肉体への感謝や満足感。健康思考やエコは今の時代のコアな思想です。様々なテクノロジー、医療、ITの発達は、私たちがこの地球での生活をいかに幸せに、快適に、健康に調和して過ごせるか、が原動力になっています。インターネットの文化が急速に発達したもの1900年代ですね。三次元の幸せは持つ幸せを体験すると同時に、本当に必要なものを見極めることでもあり、必要のないものは持たない、そしてどんどん非物質化していくことも含まれます。地球、肉体、生き物全て、自然・・といった欠かせないものはより大切にし、テクノロジーの発達によって、持たなくていいものは持たなくなります。そして本当は私たちは全てを持っていて、必要な時に必要なものがあることを学ぶ時代でもあります。本当の意味での三次元的、物理的な世界を生きる楽しみを学んでいます。

2020年の時代の変換

2000年に最後の火のコンジャンクションが終わり、2020年から、完全に地の時代に入りました。このコンジャンクションではコロナが発生しました。コロナがきっかけで、地球がとてもきれいになりました。海が青くなり、空気が澄みわたりました。

更に詳しく土星と木星のエネルギーを見ていきましょう。今回のコンジャンクションはやぎ座で起こっていますが、やぎ座と関係が強い惑星は土星です。つまり、同じやぎ座にいても、土星の方が土星らしいエネルギーを発揮しやすく、木星は少し遠慮気味になります。そのため今回のコンジャンクションでは、土星の内なる気づきのエネルギーがより強く働きます。土星は自分の中心からずれていないか、いつも見守ってくれている惑星です。ズレがあるとすぐに教えてくれます。今まで私たち地球人は本当に自分の中心で生きていたでしょうか。今回のコンジャンクションは、その問いかけと、その答えを実行するためのきっかけを沢山くれていると思います。コロナもその一つで、働き方が激変し、身体を大事にしたり、自分にとってより幸せなライフスタイルを考え、実行するきっかけとなりました。よりこの三次元を楽しく過ごすために。

風の時代に何が起こる?

完全に風の時代に入るのは、2199年になります。今の私たちの肉体のままでそれを体験する人はいないかと思いますが、、どんな時代になっているか想像してみました。西洋占星術では、今が風の時代なので比べてみることができるかもしれません。今の私のイマジネーションでしかないですが、この時の地球は今までのダルマ、アルタが極めるので、カーマの時代には「超自然」が普通の感覚になっているのかなと思いました。第六感とか、今まで使っていなかったサイキックな力を使っているのが普通の時代。そして「地球人」としての意識がキーになるのではないかと思いました。そういった能力をフル活用している人はどの時代にもいますし、他の惑星とのコンタクトもすでにありますが、時代の大きい流れの中で常識にはなっていません。完全に普通にみんながその意識を持っていて、私たちが海外旅行する感覚が、違う惑星に(物理的・もしくは意識で)行くとか、サイキック能力も五感と同じレベルでみんなが使っているのが風の時代のような気がします。そういったことを人類みんなで楽しむ時代が来ると思うと、とても楽しそうだなと思いました。

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