Cancer
蟹座
蟹座(かに座)は、春分点から数えて4番目、夏至の日に始まる星座です。水の星座で活動宮、支配星は月。太陽が一年でいちばん高いところまで昇りきり、向きを変えて戻りはじめる、その折り返しに置かれています。牡羊座から外へ外へと広がってきた12星座の歩みは、ここではじめて内側を向きます。硬い甲羅のなかにやわらかい体をしまった蟹のように、守りたいものを内に抱える星座です。
Contents
蟹座のテーマ
” I LOVE “
世界は愛で満ちていることを思い出す
蟹座が思い出させるのは、自分がはじめから愛のなかにいた、ということです。何かができるから、誰かの役に立つから迎えられたのではなく、生まれてきたときにはもう迎えられていた。世界をそう見られたとき、何が起きても大丈夫だという安心が戻ってきます。蟹座が受けもつのは、理由のいらないこの安心です。
蟹座の基本データ
項目
蟹座
読み
かに座
英語名・記号
Cancer ♋️
12星座のなかの順番
4番目
日にち(太陽星座)
6/21〜7/22頃
蟹座の新月(月星座)
6/21〜7/22頃
蟹座の満月(月星座)
12/22〜1/20頃
2区分
女性宮
3区分
活動宮
4元素
水
支配星
月
体のパーツ
胸・胃(胸・乳房・胃など)
象徴アロマ
※日付は年によって1日前後ずれます。
蟹座とは
蟹座は、黄道(地球から見た太陽の一年の通り道)の90度から120度まで、夏至点から始まる区画です。太陽は毎年6月21日頃にここへ着き、7月22日頃まで蟹座を進みます。夏至の日、北半球の昼はいちばん長くなり、そこから短くなっていきます。夏至の太陽が真上に来る北回帰線は、英語で Tropic of Cancer(蟹座の回帰線)。tropic のもとは「向きを変える」というギリシャ語で、蟹座は名前の上でも、太陽が折り返す場所として扱われてきました。
蟹座の30度を二十四節気に置きかえると、前半の15度が夏至、後半の15度が小暑です。日本の暦は立夏から夏を数えるので夏至は夏のまんなかですが、春分・夏至・秋分・冬至で季節を区切る西洋占星術では、同じ日が夏の一日目。蟹座が「季節をはじめる星座」に数えられるのは、この区切り方によります。季節のようすは夏至と小暑の記事、節気の全体は二十四節気のページでご覧ください。
星座になった蟹は、神話にほんの一場面しか登場しません。英雄ヘラクレスがレルネーの沼で水蛇ヒドラと戦っていたとき、同じ沼から一匹の蟹が這い出てきて、ヒドラに加勢し、英雄の足をはさみます。蟹はすぐに踏みつぶされますが、ヘラクレスを憎む女神ヘラが、その蟹を天に上げて星座にしたと伝えられます。名前の由来には、もうひとつ言い伝えがあります。5世紀ローマの著述家マクロビウスは『サトゥルナリア』で、蟹は後ろや横へ歩く生きものなので、太陽が来た道を引き返しはじめるこの場所の名になった、と書きました。
12星座の全体像は、12星座の基本ページにまとめています。
蟹座の特徴
蟹座の特徴は、内と外のあいだに線を引き、内側に入ったものを守って養うことです。この星座はまず「ここからは身内」という囲いをつくり、囲いのなかに入った相手には、食べさせ、世話を焼き、外の波から庇います。蟹座を通る天体の働きは、広く行きわたるかわりに、近くにいる相手へ深く注がれます。
蟹座は女性宮(2区分)
蟹座は、「うち」を受けもつ星座です。日本語の「うち」は、内側のことであり、自分の家のことであり、「うちの子」のように身内のことでもあります。女性宮の天体は外へ打って出るより来たものを内に迎える働きをもち、蟹座ではそれが、人を迎え入れる形をとります。同じ女性宮の牡牛座が手もとに留めたのは物と感覚でした。蟹座が内に入れるのは、人と、その人の気持ちです。
蟹座は活動宮(3区分)
蟹座は、守るために自分から動く星座です。夏至から始まるので、区分の上では季節をはじめる活動宮に入ります。活動宮の4つはどれも待たずに始める星座で、蟹座が始めるのは、身内の輪をつくることと、その輪を守ること。神話の蟹も、相手が英雄ヘラクレスであっても、自分から沼を出て足をはさみにいきました。世話を焼くのも庇うのも、蟹座では始める側の動きです。
蟹座は水の星座(4元素)
蟹座は、水に器を与える星座です。水の元素は気持ちや情を受けもち、それ自体は形をもたず、入れものの形になります。17世紀イギリスの占星術師ウィリアム・リリーは『クリスチャン・アストロロジー』で、蟹座があらわす場所に、海や川のほかに泉、井戸、水ためを挙げました。暮らしのすぐそばで水をたたえておく場所です。蠍座の水は底へ沈み、魚座の水は岸をなくして広がりますが、くんで、ためて、人に飲ませることができるのは蟹座の水だけです。
蟹座の支配星は月
月が支配する星座は、12星座のうち蟹座だけです。水星から土星までの5つの天体は二つずつ星座を受けもちますが、太陽と月はひとつずつで、太陽の獅子座と月の蟹座が隣り合っています。2世紀のプトレマイオスは『テトラビブロス』で、蟹座と獅子座は12星座のなかでもっとも北にあり、太陽がここを通るとき頭上にいちばん近づいて暖かさをもたらすので、二つの大きな光に割り当てられた、と説明しました。男性宮の獅子座が太陽に、女性宮の蟹座が月に。現代式でも伝統式でも、蟹座の支配星は月のままです。
伝統の占星術は月に、母親、育てること、食べもの、毎日の暮らし、そして体のうるおいを重ねてきました。蟹座が養うことと結びつけて語られるのは、この月を支配星としているからです。月は約ひと月で満ち欠けをひとめぐりし、潮の満ち引きを動かします。同じ天体が、蟹座の部位に当てられる水分も受けもっています。
蟹座と山羊座(向かい合う星座)
一年で昼がいちばん長い日に始まるのが蟹座、いちばん短い日に始まるのが山羊座です。夏至と冬至、I love と I fulfill。3世紀の哲学者ポルピュリオスは『ニンフの洞窟について』で、蟹座を魂がこの世に降りてくる門、山羊座を魂が昇っていく門とする言い伝えを記しました。蟹座は古くから、人が生まれてくる場所に重ねられています。
対する山羊座は、社会のなかで役割を果たす星座です。そこでは人は、何を担い、何をやりとげたかで見られます。蟹座が受けもつのは、その反対の端、何をしたかを問われない場所です。山羊座の I fulfill は、自分が満たされていると、それが自然に外へ広がって役割になる、という言葉。その「満たされている」の出どころが蟹座にあり、テーマの「世界は愛で満ちていることを思い出す」は、役割も成果もまだ何ひとつないうちから、すでに迎えられていた、ということを指しています。
蟹座と体の部位
伝統的な西洋占星術では、蟹座は胸と胃に対応します。体を12星座に割りふる対応(メロテシア)のいちばん古い記録のひとつ、1世紀ローマの詩人マルクス・マニリウスの『アストロノミカ』には、胸は蟹座のもの、とあります。のちの占星術書はここに乳房と胃を加えました。赤ん坊が抱かれる場所と、食べたものを受けとめる場所です。
蟹座の体質は、12星座のなかでもひときわはっきりしています。熱いか冷たいか、湿っているか乾いているか。伝統の占星医学が体を見る物差しはこの二つで、水の元素は冷たく湿った性質(粘液質)、支配星の月もまた冷たく湿った天体。元素と支配星がそろって同じ側を指しています。リリーも蟹座を、水の、冷たく、湿った、粘液質の星座と書きました。二重になった冷えと湿りが胸と胃にかかってくる、というのが伝統の読みです。リリーが蟹座に挙げる不調は、胃では消化の弱さと冷え、胸では塩気のある痰と長びく咳、体全体では水が溜まるむくみ。冷たい水気がとどまった場所ごとに、形を変えてあらわれると考えられていました。
冷えて湿ったものには、温めて乾かすものを。伝統の手当ては、偏った性質に反対の性質を当てて、釣り合いを戻します。この原理を蟹座に当てると、胃を冷やさないこと、温かいものを摂ること、体を温める香草や香辛料を使うこと、とどまった水分を動かして外へ出すこと、という向きになります。
蟹座とアロマ・ハーブ
17世紀イギリスの薬草家ニコラス・カルペパーが、『The English Physician(英国の医師)』で「木星のハーブで、蟹座のもとにある」と書いたのが、レモンバーム(メリッサ)です。その汁と砂糖でつくったシロップをどの家にも置いておき、胃の弱った人に与えるように、とカルペパーは勧めました。リリーが蟹座に挙げた消化の弱さに、蟹座のハーブがそのまま当てられています。蟹座の象徴アロマは、このレモンバームです。
現代のアロマセラピーで蟹座の香りとしてよく挙がるのは、ジャーマンカモミールです。カルペパーの本では、カモミールは月ではなく太陽の側に置かれているので、こちらは伝統の対応ではなく、現代になって蟹座に結びつけられた香りです。
現代でも、この2つは胃のためのお茶です。レモンバームのハーブティーは緊張から来る胃の不快感に、ジャーマンカモミールのハーブティーは食後や寝る前の一杯として飲まれています。精油では、メリッサは採れる量の少ない貴重なもので、気持ちを落ち着かせたいときに。濃い青色のジャーマンカモミールは、肌の手入れのほか、キャリアオイルで薄めてお腹まわりをさするマッサージにも使われ、芳香蒸留水のカモミールウォーターは敏感な肌の化粧水になります。
エッセンシャルオイル・精油
ハーブ
蟹座にある天体(太陽・月・惑星)
蟹座に入った天体は、その働きを、まず身近な相手に向けます。水星なら身内に通じる言葉で話し、金星なら好きになった相手を家族のように大事にし、火星なら身内を守るために動きます。6月21日から7月22日頃に生まれた人は、太陽が蟹座にあります。そして月にとって、蟹座は自分の星座。受けとめて養うという月の働きが、ここでは何にも遮られずに出ます。
FAQ
Q1. 6月21日生まれは、双子座ですか?蟹座ですか?
A. 蟹座は夏至の瞬間に始まるので、その年の夏至が6月21日なら、時刻を過ぎていれば蟹座です。星占いの一覧に「蟹座は6月22日から」と書かれていることが多いのは、22日の年が多かったころの名残です。6月21日と22日生まれの人は、惑星星座チェックで太陽の星座を調べておくと確実です。
Q2. 蟹座の英語名 Cancer は、なぜ病気の「がん」と同じ単語なのですか?
A. どちらも、もとはギリシャ語で蟹を意味するカルキノスで、ローマでラテン語の cancer に訳されたからです。星座は神話の蟹から、病名は紀元前400年頃の医師ヒポクラテスが腫れものをカルキノスと呼んだことから来ています。2世紀の医師ガレノスは、腫れもののまわりに広がる血管が蟹の脚のように見えるからだ、と説明しました。夜空の蟹と病名の蟹は、同じ生きものの姿をそれぞれ別に借りた言葉です。
Q3. 蟹座と相性のいい星座は、どれですか?
A. 蟹座といちばん気持ちが通じやすいとされるのは、同じ水の星座の蠍座と魚座です。西洋占星術では、同じ元素の星座どうしは性質が近く、言葉にする前の気持ちまで通じやすいと考えます。地の星座の牡牛座と乙女座も、蟹座と同じく、来たものを受けとめる側の星座で、落ち着いた関係をつくりやすい相手です。向かい合う山羊座は、身内を迎えて養う蟹座と、社会のなかで役割を果たす山羊座という対で、互いにもっていないものを補い合います。相性に優劣があるわけではなく、どんな関係を築けるかという視点です。
Further reflections
・・・
本記事の星座は、西洋占星術の方式(春分点を起点に、黄道を12等分するトロピカル方式)で区分しています。天体の位置や、月が星座を移る日時など、天文に関する記述は、標準的な天文アルゴリズムに基づいて計算・検証しています。星座や月にまつわる解釈は、古代から受け継がれてきた西洋占星術と月の象徴の知恵をふまえながら、Timeless Editionが独自の視点で編み直したものです。これらは未来を予言したり、性格を断定したりするものではなく、自分自身への理解を深めるための視点としてお届けしています。身体やアロマ・ハーブに関する記述は、伝統的な占星術における象徴としての対応を紹介するもので、医学的な効果や診断を示すものではありません。体調に不安があるときは、医療機関にご相談ください。