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酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)とは?|安全性や洗濯槽の掃除の仕方など

酸素系漂白剤|過炭酸ナトリウム|過炭酸ソーダ

タイムレスエディションでは、人や自然に優しいハウスキーピングの提案をしています。ここではその一つの材料である酸素系漂白剤について徹底的に紹介しています。特徴、環境や人に本当に優しいのか、塩素系漂白剤との違い、具体的な使い方などについてお伝えしています。

目次

  1. 酸素系漂白剤とは?
  2. 酸素系漂白剤 VS 塩素系漂白剤
  3. 酸素系漂白剤の5つの具体的な使い方
  4. 注意点



酸素系漂白剤とは?

データ

酸素系漂白剤は過炭酸ナトリウムや過炭酸ソーダとも言われます。炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)過酸化水素を混ぜて作られたものです。アルカリ度が重曹やセスキ炭酸ソーダより高く、洗浄力も高いタイプのものです。

名前
  • 炭酸ナトリウム過酸化水素化物
  • 過炭酸ナトリウム
  • 過炭酸ソーダ
  • 酸素系漂白剤
化学式
  • Na2CO3•1.5H2O2
  • 2Na2CO3・3H2O2
組成式 Na2CH3O6
pH値 pH10~12(3%水溶液)|アルカリ性
健康に対する有害性(一部のみ抜粋)※1
  • 炭酸ソーダ:皮膚刺激、発がん性、蒸気吸収による急性毒性全て区分不可
  • 過酸化水素:皮膚刺激は区分1、発がん性は区分2、蒸気吸収による急性毒性は区分3
環境に対する有害性※1
  • 炭酸ソーダ:急性、慢性共に区分外
  • 過酸化水素:急性は区分2、慢性は区分外

炭酸ソーダ

酸素系漂白剤の分解

酸素系漂白剤は水に混ぜると、過酸化水素、炭酸ソーダに分解されます。その後過酸化水素は水と酸素に分解されます。過酸化水素は40℃以上の弱アルカリ性のお湯で活性酸素と水に分解されます。その「酸化」する力を使って、色素を一緒に分解し、無色にすることで漂白を行います。

対応する汚れ

漂白、除菌、消臭に

衣類の汚れ、食器の汚れ、黒カビ、排水溝のぬめり、洗濯槽の汚れ、石けんカスなどを落とすことに向きます。

環境への安全性・危険性

まず、酸素系漂白剤の成分の一つの炭酸ソーダは炭酸ナトリウム、ソーダ灰ともいわれ、自然界にも存在する無機質です。そのため生物分解される必要がなく、環境負荷が少ないものと言われています。しかし、もう一つの成分である過酸化水素の方は環境にやや負担があります。環境に対しては、長期的にみると、酸素と水に分解されるので問題ありませんが、短期的には水生生物に毒性がある区分2に分類されています。このようなことから、酸素系漂白剤は、重曹やセスキ炭酸ソーダなどのほかのナチュラル系材料に比べると環境への負荷がやや高いものだとわかります。

人への安全性・危険性

酸素系漂白剤はアルカリ性が強い(=タンパク質を分解する)ので、直接皮膚に触れたりするのは避けるべきです。また、目に入ったりしないように注意が必要です。特に過酸化水素は経口、経皮、吸入などで体内に入ると危険な物質なので注意が必要です。上の表にあるように皮膚刺激や発がん性、急性毒性などがあります。

保存方法

酸素系漂白剤はステンレス以外の金属に反応するので、それ以外の容器に保存します。また、空気中の水分と反応して過酸化水素ガスが発生するので、完全密封は避けます。

酸素系漂白剤 VS 塩素系漂白剤

漂白剤には塩素系漂白剤と呼ばれるものも存在します。塩素系漂白剤は強い臭いがして、とても強力な漂白剤というイメージを持つ人が多いのではないかと思います。酸素系漂白剤と、塩素系漂白剤の違いは具体的に何なのでしょうか。

成分の違い

商品によって、ほかの成分が含まれている場合もありますが、基本的には酸素系漂白剤の成分は、過炭酸ナトリウムで、塩素系漂白剤の成分は、次亜塩素酸ナトリウムになります。

環境への負荷:自然に戻っていく仕組み

酸素系漂白剤

酸素系漂白剤は、水に溶かしたときの反応で色素を分解して漂白します。前述したように、使用後に過酸化水素と炭酸ソーダになります。過酸化水素はその後、水と酸素に分解されます。短期的には水質を汚染します(区分2)が、長期的には環境負荷が少ない物質(区分外)です。炭酸ソーダは自然界にも存在し、生物分解が不要な無機質のため、環境への負荷が少ない物質として知られています。

塩素系漂白剤

一方、塩素系漂白剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムによる漂白は、塩素化反応を用います。それは様々な有機塩素化合物を生成します。有機塩素化合物には、トリハロメタンといった発がん物質や環境汚染物質が含まれます。次亜塩素酸ナトリウム自体の水生環境慢性有害性は、急性、長期間ともに区分1とされています(※1)。つまり、次亜塩素酸ナトリウム自体もある程度環境に有害であることは認められています。さらにそこから生成される化合物の汚染も別に考えなくてはなりません。

使い方の違い

塩素系漂白剤の方が漂白力は高いです。そのため真っ白な衣類を漂白したいときに向きます。一方でその強い作用は、色物や柄物には向かず、そのようなものは酸素系漂白剤を使用したほうがいいです。両方ともアルカリ性なので、ウールや絹といったアルカリ性に弱い繊維や、ステンレス以外の金属がついている衣服を洗うのは気を付けたほうがいいです。



5つの具体的な使い方

衣類の漂白

衣類を容器に入れ、40℃以上のお湯と酸素系漂白剤を入れよく混ぜます。30分ほどつけ置きしたら、すすぎます。衣類だけでなく、布製の靴、キッチンの布巾などにも使えます。

  • 酸素系漂白剤: 大さじ2  ※汚れ具合によって調整する。
  • 40℃以上のお湯: 1~2L

衣類の洗浄

洗濯用の石けんと一緒に酸素系漂白剤を加えて、衣類の洗浄にも使えます。洗濯槽の洗浄も一緒に行えます。

  • 洗濯用石けん
  • 酸素系漂白剤: 大さじ2(30Lの水あたり) ※汚れ具合によって調整する。

洗濯槽の洗浄(縦型の洗濯機)

酸素系漂白剤で一番効果を発揮する使い方の一つが洗濯槽の洗浄です。洗濯槽の裏にたまった黒カビなどが気持ちいいほど取れます。最高水位まで45~50℃位のお湯をためて、酸素系漂白剤を混ぜます。5分ほど洗濯機を動かし、その後2,3時間放置します。はがれて浮き上がってきた汚れを取り除きます。さらに「すすぎ→排水→汚れを取り除く」を汚れがなくなるまで繰り返します。最後に脱水して終わりです。汚れがひどいときはさらに始めから1セット、綺麗な水で行います。

  • 酸素系漂白剤: 300g(30Lのお湯あたり)  ※汚れ具合によって調整する。
  • 45~50℃のお湯

食器の漂白&洗浄

酸素系漂白剤は食洗器の洗剤代わりに使えます。食器のくすみや茶渋を取ってくれます。

  • 酸素系漂白剤: 大さじ1

バスタブやお風呂の小物の洗浄

残り湯に酸素系漂白剤を約250gを入れ、追いだきします。小物類も洗浄する場合はバスタブに入れ、数時間放置します。その後水で流します。

  • 酸素系漂白剤: 約250g
  • 残り湯

注意点

適さない使い方

水あかはクエン酸、油汚れや泥の汚れは石けんが向きます。

クエン酸

注意する素材

下記の素材には使用できません。酸素系漂白剤は、金属(ステンレス以外)に反応します。そのため、媒染剤として鉄や銅が使われてる可能性がある草木染の布には、反応してしまう可能性があるので使用できません。また、酸素系漂白剤はアルカリ性のため、タンパク質を溶かします。そのためタンパク繊維である動物性のウールやシルクなどには向きません。

  • ステンレス以外の金属(反応して黒ずむ)
  • ウールやシルクなど、アルカリに弱い繊維
  • 色落ちしやすい衣類
  • 草木染製品




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※1:厚生労働省による安全データシート参照

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