Ayurveda,  アーユルヴェーダの日常

アーユルヴェーダの食事法|理想的な食事のとり方

アーユルヴェーダと健康的な食事

アーユルヴェーダでは、健康的に食事をとる、基本的な方法を教えてくれます。ドーシャのバランスによって、取り入れたほうがいい食物、避けた方がいい食物などがありますが、それ以前に、基本的な食事の方法があります。

目次

  1. 健康的な食事の3つの理論
  2. 健康的な食事を実践する4つのポイント
  3. 食べ物の6つのラサ(味)
  4. 食べ物の6つのグナ(性質)
  5. 食べ物の心(トリグナ)への影響
  6. ドーシャ別の理想の食事法



健康的な食事の3つの理論

  1. アグニ(消化の火)を高める
  2. アーマ(未消化物)を抑える
  3. マラ(老廃物)の生成を高める

アグニ(消化の火)を高めることによって、アーマ(未消化物)が体内に蓄積されないようになります。そして、いらないものはマラ(老廃物)となって、汗・尿・便としてキレイに体外へ排出されます。この循環を促進することが理想的になります。このアグニとアーマという概念は、アーユルヴェーダでは私たちの健康を考える上でとても重要視しています。アグニの不順とアーマの生成が病気の原因とも言われています。

アグニとは?

アグニは、私たちの体や心の中で、変化や精製をしてくれるエネルギーのことです。例えば、食べ物の消化吸収や、感情の受け入れ、細胞の変換、体温調整などが挙げられ、寿命にも大きく影響すると言われています。アグニは、消化とも関連する火のエネルギーであり、ドーシャで言うとピッタと密接に関わります。

健康に極めて重要なことは、自分のアグニ(=消化能力)を理解し食べることです。食べ物の組み合わせも影響します。いい消化ができないと、栄養分を吸収できなかったり、消化不良や余分なものを吸収してしまうことが起こります。また、アーマをもたらし、これは病気をもたらす原因となります。

アグニとは

アーマとは?

アーマはサンスクリット語で毒素を意味します。アグニの低下により、体にとっていらない成分が蓄積されてしまうことがあります。また、食べ物の消化だけでなく、未解決の感情といった心の未消化の蓄積もアーマに関連します。アーマが自分の体に存在するかは、舌を見るとわかります。舌が白っぽい膜で覆われていると、アーマがあると言われています。

理想的な食事を実践するの4つのポイント

1. 食事のタイミング

まず、自然に空腹感を感じた時に食べることが大切です。前の食事の消化が終わってから食べましょう。会話やテレビ等に夢中になりながらではなく、食事に感謝の気持ちを持って集中して食べることが勧められています。疲れきっていたり、感動したり怒ったりしているときは、アグニの働きを妨げるので食事には向きません。よく噛んで適度な速さで食べます。

2. 食事の量と種類

満腹感を感じたら食べるのをやめます。胃の1/3~1/4は空けておくと良いと言われています。冷たすぎる飲み物は良くないので、常温のものを飲むようにします。できるだけ火を通したものを取り、調理したてものもを食べます。加工食品や残り物ばかり食べていると、プラーナが不足してしまいます。その土地で採れた旬のものを食べるといいと言われています。煮過ぎ・焦げ過ぎ・熟し過ぎ・生煮え・未熟のものは避けます。

3. 6つのラサ(味)をバランスよく摂り入れる

1回の食事に6つのラサ(味)をバランスよく取り入れることが勧められています。ラサについては次項で詳しくお話します。

4. 過剰なドーシャを鎮静させる食事をする

アーユルヴェーダでは、ドーシャのバランスが取れていることが健康とされます。そのため、自分にとって過剰になっているドーシャを鎮静させるような食事をすることが大切です。自分の体質だけでなく、季節や年齢によっても、過剰になりやすいドーシャがあります。トータル的に見てドーシャのバランスが取れるような食事ができることが理想です。



食べ物の6つのラサ(味)

6つのラサ(味)と例

アーユルヴェーダでは味覚を重要視しています。味覚には、下記の6つがあり、6つのラサ(味)と言います。

甘味・酸味・塩味・辛味・苦味・渋味

それぞれはドーシャや消化に影響を及ぼします。普段の食事では、全ての味を取り入れることが理想とされます。ひとつの食材は、2つ以上の味覚が組み合わさっていることが多いので、意識するとそこまで難しくありません。また、自分のドーシャによって、どのラサを積極的にとり、どのラサを控えめにした方が良いかも変わってきます。

甘味 米、小麦、牛乳、砂糖、大麦、ココナッツ、かぼちゃの種など
酸味 酢、梅干し、チーズ、ヨーグルトなど
塩味 漬物、醤油、塩、昆布など
辛味 生姜、コショウ、ワサビ、唐辛子、スパイスなど
苦味 緑黄色野菜、ニガウリ、ほうれん草など
渋味 豆類、渋柿、緑茶など

6つのラサ(味)と特徴

表は、各味覚が、どの5元素から成り立っていて、各ドーシャを下げるか上げるか、熱を発するか冷却するか、消化後の影響を表しています。

5大元素

ヴァータ

ピッタ

カパ

消化後

甘味

地・水

冷却

酸味

火・地

加熱

塩味

水・火

加熱

辛味

火・風

加熱

苦味

風・空

冷却

渋味

風・地

冷却

どの味覚も、過剰に取りすぎると、対応するドーシャの過剰から引き起こる病気につながります。例えば、甘味を取りすぎると、カパの過剰から起こる病気につながります。

消化の3段階

アーユルヴェーダでは消化には3段階あると言われています。

  1. 口に入れた時:6つのラサ

    口に入れた時に唾液で第一段階の消化が行われます。その時に感じる6つの味が消化に影響を与えます。個人によって感じ方も違いますし、偏りがあります。

  2. 消化中:ヴィールヤ

    味覚によって食べ物のエネルギーが違います。それは表の「熱」の項目にあるように、体の中で冷却エネルギーとして働くか、加熱エネルギーとして働くかによって分かれます。それを「ヴィールヤ(薬力源)」と言います。冷却するものは消化を鈍らせ、加熱するものは消化がされやすい傾向にあります。冷却エネルギーはカパとヴァータを増やします。加熱エネルギーはピッタを増やし、消化の火であるアグニも増やします。

  3. 消化後:ヴィパーカ

    消化した後に長期的に体に与える影響があります。食物が腸に運ばれた後は、甘・酸・辛の3種類の作用を持ちます。それを「ヴィパーカ(消化後の味)」と言います。ラサの原理と同じようにドーシャに影響します。また体内では、「甘」は組織を増やし、「酸」は組織を減少させ、「辛」は乾燥させる働きがあります。上の表の一番右の列の「消化後」の項目で示しています。

ラサの例外:プラバーヴァ

一般的には味(ラサ)でどのドーシャに影響を及ぼすかが判断できますが、例外もあります。この特異作用を「プラバーヴァ」と言います。例えばハチミツは甘いですが、カパを増やさない性質があります。むしろカパを減らしてくれます。このような例外もあるので、各食材ごとの詳細は、後にアップする各食材とドーシャの関係の記事をご覧ください。

食べ物の6つのグナ(性質)

また、食べ物は下の6つのグナ(性質)に分けられるとも言われています。ドーシャのバランスを保つために、6つのグナを考慮しながら食事をすることができます。

重⇔軽

乾⇔湿

温⇔冷

各ドーシャに対応させると下のようになります。

ヴァータ 軽・乾・冷
ピッタ 軽・湿・温
カパ 重・湿・冷

グナは対応するドーシャを増やすので、各ドーシャが積極的にとらなけらばならないグナは反対の性質を持つものになります。例えば、ヴァータタイプの人は、積極的に重・湿・温のグナを摂る必要があります。6つのグナに対応する具体的な食材例は下記です。

牛乳、小麦、玄米、肉(赤身)、魚、ごま油など
葉菜、緑豆など
野菜、雑穀、梨など
湿 ナッツ、魚、卵など
魚、ごま油、タマネギ、卵、肉、唐辛子など
りんご、アイス、ココナッツ、小麦、牛乳、ひまわり油など

食べ物の心(トリグナ)への影響

食べ物は心にも作用すると考えられています。アーユルヴェーダの理論の始めの方に出てきた、精神的な面を表す「トリグナ(3つの性質)」という概念がありました。「サットヴァ(純粋性)」、「ラジャス(動性、激性)」、「タマス(暗性、重性)」の3つです。これらは食べ物にも当てはまります。トリグナの詳細は下記もご覧ください。

3つのグナ

サットヴァ(純粋性)に富む食材

サットヴァに富む食材は、純粋性を高め、ドーシャのバランスを整えるので、アーユルヴェーダでは勧められてます。生命力やパワー、喜びを増大させ、健康を増進させ、幸福感を満たしてくれます。食べ物の特徴は美味しく、油質で、腹持ちがよく、心地良いものです。具体的には、ギー、アーモンド、ココナッツ、はちみつ、デーツ、胡麻油、牛乳、米、新鮮なフルーツなどです。

ラジャス(激性)に富む食材

ラジャスが多い食材は、激性を増加させます。そしてピッタとヴァータを増加させます。苦痛、災い、病気をもたらすと言われています。苦すぎるもの、酸っぱいもの、塩辛いもの、刺激が強くヒリヒリするもの、油気が無い食べ物です。具体的には、肉類、にんにく、タマネギ、激辛食品などです。

タマス(惰性)に富む食材

タマスが多い食材は、惰性を増加させます。ドーシャはカパを増加させます。食べ残しや、不潔なもの、新鮮でないもの、味が無いもの、前に調理されたものなどです。具体的には、レトルト食品や保存食品、作り置きのもの、腐ったもの、油分の多い食品などです。

ドーシャ別の理想的な食事法

上記の食事の理論をもとに、ドーシャ別に理想的な食事法の説明をしています。下記のドーシャを参照ください。

ヴァータタイプの食事法 ピッタタイプの食事法 カパタイプの食事法

食材別のドーシャへの影響をまとめたものは下記になります。300種類以上の食材を紹介しています。

食材別ドーシャへの影響




次はこれを要チェック

自分のドーシャを知りたい場合は診断をチェックしてください。

ドーシャの体質診断

アーユルヴェーダの基本や、日常生活への応用のまとめは下記へ

アーユルヴェーダの基本 アーユルヴェーダの応用