私たちの経験する3つの経験|ヨーガ・アーユルヴェーダ・インド哲学

タットヴァボーダ No.26-29

ヨーガやアーユルヴェーダの理論のもととなっているインド哲学「ヴェーダ」の起源は約5000年前にさかのぼります。宇宙の法則、私たちが生きている世界の本質が詰まっています。その一部をわかりやすく初心者用に説明しているものがタットヴァボーダ(Tattva Bodha)です。ヨーガ、アーユルヴェーダのもととなる基本的な考え方を理解するにあたって、とても重要です。このサイトでは、そのタットヴァボーダの内容をサンスクリット語の訳に沿いながら説明しています。グリーンで囲われている部分がサンスクリット語の日本語訳です。ここでは26章から29章にあたる、私たちがこの世界で経験する3つの状態を説明しています。タットヴァボーダの全体像について知りたい場合は下記をご覧ください。

 

目次(26章~29章)|私たちが経験する3つの状態

 






 

私たちの経験する3つの状態

これまでのタットヴァボーダの内容とのつながりを復習します。まず、タットヴァボーダのテーマがあり、それを学ぶために必要な資質を説明しました。そしてタットヴァボーダの一番のテーマである、アートマー(自分自身、真我)にはどんな特徴があるのかを15,16章説明しました。17章以降はその特徴を1つずつ説明しています。ここでは、アートマーが目撃する「3つの状態」とは何かです。

No.26 |3つの状態とは?

3つの状態とは何でしょうか?目覚めの状態、夢見の状態、深い眠りの状態です。

解説

私たちの経験は、3つの状態に分けられます。そしてそれぞれの状態では、私たちの3つの体の中で機能している体が異なります。

  • 目覚めの状態|Waker|グロスボディー+サトルボディー+コーザルボディー+アートマー
  • 夢見の状態|Dearmer|サトルボディー+コーザルボディー+アートマー
  • 深い眠りの状態|Sleeper|コーザルボディー+アートマー

 

No.27 |目覚めの状態とは?

目覚めの状態とは何でしょうか?音などの感覚を耳などの感覚器官を通じて知覚する経験の状態を、目覚めの状態といいます。グロスボディー(肉体)と同一視されている真我(アートマー)をヴィシュワハといいます。

解説

サトルボディー、コーザルボディーを含んだグロスボディーが中心となります。Wakerとは、「起きている状態の自分」のような意味です。

グロスボディーが機能

目覚めの状態では、自分の全てのパーソナリティーが目覚めていて、完全に機能しています。3つの体(グロスボディー、サトルボディー、コーザルボディー)が全てを自覚し、それらを通して世界を経験します。私たちは目覚めの状態でしかグロスボディーを認識することができません。さらに、グロスボディーは、サトルボディーとコーザルボディーが働いていないと機能しません。本を持っていてもサトルボディーに存在するマインドがないと読むことができません。(※この説明は3つの体の説明のページをご覧ください。)

グロスボディーと自分を同一視

目覚めの状態では、グロスボディー(自分の肉体)とアートマーを同一視してしまっています。つまり、肉体を「本当の自分、真我(=アートマー)」と勘違いしてしまっている状態です。その状態のアートマーのことをヴィシュワハといいます。

世界は体の外にあるもの

グロスボディーの説明で、グロスボディーは世界を経験するカウンターだといいました。全ての経験はそのカウンターを通さないとできません。目覚めの状態では、五感を通じて、すべて自分の体の外にあるものとして体験をします。例えば、今持っているスマートフォンは、自分の中にあるものではなく、外にあるものとして認識します。自分は「行為者(行う人)」として行動し、その結果を楽しみます。

世界に強い愛着

目覚めの状態の世界は、個体物質でリアルなものに見えます。モノやコトには原因と結果の関係があるように見えます。何かの法則によってそれらの機能や使い道があります。私たちは毎朝、同じ見慣れた世界に目覚めます。そのため私たちは目覚めの状態の世界をとても重要視します。そしてその世界のモノ、生き物、楽しみ、苦しみに強い愛着を持っています。しかし夢に関しては、自分のイマジネーションの中の作り物の、非現実として簡単に片づけています。

 

No.28 |夢見の状態とは?

夢見の状態は何かと質問されたら、説明はこうなります。目覚めの状態で見たことや聞いたことから生まれた印象が、眠っている間に投影された世界のことです。サトルボディーと同一視されている真我(アートマー)をタイジャサハと言います。

解説

コーザルボディーを含んだサトルボディーが中心となります。Dreamerとは、「夢見の状態の自分」のような意味です。

マインドと知性の働き

百聞は一見に如かずというように、見ることは信じることです。さらに目覚めの状態では、ほとんどの知識は聞くことで得られます。そのため、見ることと聞くことは、経験の一番メインの源といえます。経験はそれらの感覚を通じて行われるので、目覚めの状態では、そのほかの感覚であるマインドや知性は、マインドの中の印象として認識されます。より強烈で繰り返し起こる経験は、より深い印象となります。しかし、夢見の状態では、マインドや知性が主役になります。

違うアイデンティティーを持つ

マインドは、夢の中の世界を創造し、維持し、終わらせます。夢のなかの世界だけでなく、現実世界を楽しむこともします。夢見の状態の自分(Dreamer)は、目覚めの状態の自分(Waker)とは完全に違うアイデンティティーを持ちます。夢の中では、知性の役割はありません。さらに「行い手」の概念もなくなるので、メリットやデメリットが存在しません。ただその世界を楽しむだけです。その時の感情が楽しいか、苦しいかの選択はできません。

夢はまた別の現実

夢は、Wakerによってかなわなかった願いや、目覚めの状態とは異なる印象で、現実化されないものです。宝くじに当たったり、馬が飛んで切る夢を見るかもしれません。夢は、Wakerにとってみると、おかしくて非論理的で、ばかげているかもしれませんが、Dreamerはそのように感じません。Wakerにとっては夢見の状態は現実ではないですが、Dreamerにとってはまさに現実なのです。全ての夢は、過去の経験に基づいていると考えられています。見たことのない景色があったとしても、記憶の中に埋もれてしまっている場合や、実際の体験が混ぜ合わさってできたものでしかありません。(※予知夢についてはここでは述べられていません。)

サトルボディーと自分を同一視

夢見の状態では、グロスボディーは認識されていません。夢は実際の五感を通じて体験するものではないからです。サトルボディーに属するマインドが中心になっています。つまりサトルボディーと「本当の自分、真我(=アートマー)」が同一視されている状態になります。その状態のアートマーのことをタイジャサハといいます。

 

No.29 |深い眠りの状態とは?

深い眠りの状態とは何でしょうか?それは、「何も覚えてないけど、よく眠れた!」といわれる状態です。コーザルボディーと同一視されている真我(アートマー)をプラグニャハと言います。

解説

コーザルボディーが中心となります。Sleeperとは、「深い眠りの状態の自分」のような意味です。

何も覚えていない状態

深い眠りの状態では、サトルボディーとグロスボディーがなくなるので、感覚、感情、知性、記憶などが全てなくなります。熟睡して起きた朝に、「何も覚えていないけど、すごくよく眠れて幸せ」という感覚は誰もが経験しています。そこには、記憶も感覚も何もないですが、よく寝たことだけはわかっています。これは、何も経験している感覚が無くても「私」の存在があることを証明しています。「私」の存在が無ければ、よく寝たことはわかりません。

コーザルボディーと自分を同一視

目覚めの状態では、グロスボディーと自分を同一視していて、自分は行い手になります。夢見の状態では、サトルボディーと自分を同一視していて、自分は夢の中の行い手です。深い眠りの状態では、コーザルボディーと自分を同一視していますが、そこには感覚、考え、時間、空間、制限などといった概念が全くなく、無の世界です。そのため、深い眠りの状態の中で、どれくらい寝ているとか、この場所で寝ている、といったことは認識できません。

目覚めの状態、夢見の状態では、私が存在していることを知っていますが、本当の私(アートマー)が何かはわかっていません。グロスボディー、もしくはサトルボディーが自分だと思い、目覚めの状態の世界、もしくは夢見の状態の世界が現実だと思っています。深い眠りの状態では、まだ本当の私については無知で、世界を体験しませんが、ただ「私が存在する」ことだけを知っています。これが、コーザルボディーと「本当の自分、真我(=アートマー)」が同一視されている状態で、この時のアートマーをプラグニャハといいます。

全ての条件付けから離れる

目覚めの状態、夢見の状態では、みんな違う人ですが、深い眠りの状態では全ての人が同じです。王様も物乞いもなく、全ては同じ性質で、境界線が無く、完全です。そのため、私たちは起きたくないと感じます。体や心からの固定概念から外れることができるのは深い眠りの時だけです。そして私たちはこの状態のときにリフレッシュし、若返ります。一日寝ないだけでも体が疲れてしまいます。私たちは、どんなにやることがあっても、寝るためにこの世界の全てを諦めることができます。

3つの状態に存在する変わらない存在

私たちは、目覚めの状態、夢見の状態、深い眠りの状態を説明することができます。それはどの状態であってもそこに変化のない存在があることを証明しています。今の私が5年前の私を説明できるのは、そこに変化のない存在があるからです。その、どんな状態でも変化することなく存在する、それらの状態をただ見ている目撃者をアートマーといいます。アートマーは、各状態のときに行動する(体験する)行い手ではありません。行い手は常に変化するからです。アートマーは変化することなく行い手を見るものです。

3つの状態の行い手をWaker、Dreamer、Sleeperと言いました。どの状態でも変わらずある-erの部分がアートマーです。er自体は変化しませんが、Wake, Dream, Sleepと状態が変化しています。状態が変化するので行い手もWaker、Dreamer、Sleeperと変化しています。しかし、目撃者であるerは変わりません。

 

 

続きの章からは、5つのレイヤーの説明をしていきます。

 

次はこれを要チェック

 

 

 

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『VEDANTA BOOK OF DEFINITIONS』 Swami Tejomayananda

 

 

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