真実を学ぶにあたって必要なこと|ヨーガ・アーユルヴェーダ・インド哲学

タットヴァボーダ No.2-14

ヨーガやアーユルヴェーダの理論のもととなっているインド哲学「ヴェーダ」の起源は約5000年前にさかのぼります。宇宙の法則、私たちが生きている世界の本質が詰まっています。その一部をわかりやすく初心者用に説明しているものがタットヴァボーダ(Tattva Bodha)です。ヨーガ、アーユルヴェーダのもととなる基本的な考え方を理解するにあたって、とても重要です。このサイトでは、そのタットヴァボーダの内容をサンスクリット語の訳に沿いながら説明しています。グリーンで囲われている部分がサンスクリット語の日本語訳です。ここでは2章から14章にあたる、自分自身の知識を学ぶ人にとって必要な資質とは何か?の部分を説明しています。タットヴァボーダの全体像について知りたい場合は下記をご覧ください。

 

目次(2章~14章)|自分自身の知識を学ぶ人に必要な資質について

 






 

自分自身の知識を学ぶ人に必要な資質

No. 2|4つの資質を持つ人へ

4つの資質を授けられた人に、真実を探求する方法、つまり解放への道を説明しましょう。

解説

1章で説明したように、タットヴァボーダの目的は自分自身の知識を得ることです。

医学書を理解するには、医学の知識がないと理解できません。物理学を理解するには、物理の勉強をある程度していないと不可能です。そのように、言葉は読めても、理解するためには必要な条件があります。ここでは、自分自身の知識を得るには、4つの資質が必要と言っています。

 

No. 3|4つの資質とは?

その4つの資質とは何でしょう?それらは、ヴィヴェーカハ、ヴィラーガハ、シャマーディシャッカサンパッティ、ムムクシュットヴァンです。

解説

その4つの質とは具体的に何なのでしょうか?この章で4つの資質について簡潔に述べ、そのあとの章で各資質が詳しく説明されていきます。

ヴィヴェーカハ|識別(discrimination)

ヴィヴェーカハとは、永遠と永遠でないものを識別する能力です。

ヴィラーガハ|冷静さ(dispassion)

ヴィラーガハとは、感情に振り回されずに冷静を保つことです。

シャマーディシャッカサンパッティ|規律(disciplines)

シャマーディシャッカサンパッティとは、6つの内的豊かさがあることです。

ムムクシュットヴァン|願望(desire)

ムムクシュットヴァンとは、悟り(解放、自分自身の知識を得ること)に対して強い願望があることです。

 

No. 4|ヴィヴェーカハとは?

永遠のものと永遠でないものを区別する能力(=ヴィヴェーカハ)とは何でしょうか?ブランマのみが永遠のもので、それ以外のすべては永遠でないものです。それを確信することのみが、永遠と永遠でないものを区別する能力です。

解説

私たちには識別能力があります。例えば、同じような紙でできた5000円札と1000円札の価値が違うことを私たちは知っています。それは5000円札と1000円札の識別ができていることになります。それと同様、同じように見える永遠のものと、永遠でないものを識別する能力が必要であると述べられています。では永遠のもの、永遠でないものとは何でしょうか?

永遠のもの

ニッティヤ=ブランマン=アートマー=意識=真我=自分自身

永遠でないもの

アニッティヤ=上記以外のものすべて=創造物全て

※ここでは永遠のもの、永遠でないものを抽象的にしか述べていませんが、読み進めるうちに具体的になります。

 

No. 5|ヴィラーガハとは?

ヴィラーガハとは何でしょうか?現世、来世の喜びに冷静になることです。

解説

一つ目の資質である、永遠のものと永遠でないものの「識別」能力を得ることで、自然と身につくのが「冷静さ」です。冷静さとは、物事を自分から切り離してみること、客観的に見ることです。つまり、永遠でないものに執着しない、ということです。物事に必要以上の価値を重ねて見ないで、ありのままの本質を見るということとも言えます。

子供はおもちゃの車が好きですが、多くの大人にとっておもちゃの車はただのモノであり、興味がありません。人の選択は、常にその人の識別(何に価値を置くか)によります。ただのモノに必要以上の価値を重ねると、冷静さを失います。例えば、そのおもちゃの車が大切な人からのプレゼントだったらどうでしょう?同じモノには変わりないですが、喜びや思い出という価値が重ねられ、自分と切り離してみることができなくなります。そして失うことの恐れが生じ、冷静さがなくなります。永遠でないものを永遠と思い込むことで、それに対して執着心が生じ、冷静でなくなってしまいます。冷静でいるには、物事の本質を見て、アートマー以外のすべては永遠でないと理解し、客観的になることが大切です。(アートマーについては、読み進めるうちに理解が深まります。)

カルマヨーガが助けになる

心を常に静かにさせるためには、カルマヨーガが助けになるといわれています。カルマヨーガによって、永遠でないものに対する執着心がなくなり、冷静さを得ることができます。

 

No. 6|シャマーディシャッカサンパッティとは?

シャマから始まる6つの内的豊かさ(シャマーディシャッカサンパッティ)とは何でしょう?シャマ、ダマ、ウパラマハ、ティティクシャ、シュラッダー、そしてサマダーナムです。

解説

シャマーディシャッカサンパッティとは6つの内的豊かさのことです。それら6つの具体的な意味は何でしょうか?次の章から詳しく説明しています。

  1. シャマ|マインドのコントロール
  2. ダマ|感覚のコントロール
  3. ウパラマハ|ダルマ(任務)に厳密に従うこと
  4. ティティクシャ|忍耐
  5. シュラッダー|信頼
  6. サマダーナム|一点集中

 

No. 7|シャマとは?

シャマとは何でしょうか?マインドをコントロールすることです。

解説

ペン、パソコン、目、手・・・などのように、本来マインド(心)は私たちの道具の一つです。しかし私たちは簡単にマインドに支配されがちです。例えば、明日から朝早く起きようと決心し、5時に目覚ましをセットしますが、実際朝になるともう少し寝たいと思ってしまいます。このような移ろいやすいマインドに対し、常に自分がマスターでいること、奴隷にならないことがシャマです。

 

No. 8|ダマとは?

ダマとは何でしょうか?目などの外的な感覚器官をコントロールすることです。

解説

ダマとは、五感などの感覚器官のコントロールをすることです。前述のシャマ(マインドをコントロールすること)と感覚器官のコントロールは影響し合います。例えば、怒り(マインド)と、暴言(口)のコントロールは関連しています。怒りのコントロールができないから、暴言が生まれます。しかし、怒りというマインドをコントロールできなくても、暴言を吐くという外側に現れる感覚器官のコントロールはすることができます。最低でも外に現れる前にコントロールすることが大切です。

 

No. 9|ウパラマハとは?

ウパラマハとは何でしょうか?自分のダルマ(任務)に厳格に従うことです。

解説

今自分が置かれた状況でやらなければいけないことを一生懸命行うことが大切です。今すべきことはダルマ(任務)ともいわれます。具体的にダルマとは何か、詳しくはダルマの意味のページで説明しています。

 

No. 10|ティティクシャとは?

ティティクシャとは何でしょうか?寒さ、暑さ、快楽、痛みなどに耐えることです。

解説

変えられないことに文句を言うことをやめ、理解を伴って受け入れることをティティクシャといいます。氷が冷たいこと、火が熱いことに文句を言う人はいません。それと同じように、自然の摂理で変えることができないものにとらわれるのをやめ、理解し、受け入れることです。変えられないものの例としては、過ぎ去った過去、変えられない状況(仕事、家庭環境など)、他人の心、自分の体の変えられないところ、暑すぎること、寒すぎること、渋滞していること・・・などたくさんあります。

我慢とは違う

このように言われると、ヨーガやアーユルヴェーダを実践する人は何でもストイックに我慢しなければならないようなイメージになりがちですが、ただ何でも我慢することとは異なります。きちんとその状況や人、自分を理解して納得することが大切です。そして自分の努力で変えられるものであれば、すぐにでもいい方向に変えるべきです。例えば、仕事は辞めて状況を変える選択肢もあります。しかし、もしどうしても辞められないのであれば、その状況に対して理解し受け入れる姿勢でいようということです。ティティクシャを行うには、どの部分が自分で変えられることなのか、を理解することがとても大切です。

 

No. 11|シュラッダーとは?

シュラッダーとは何でしょうか?ヴェーダンタ(聖典)とグルを信頼することです。

解説

知識について

感覚器官を通じて得る知識のことをポウルシェーヤ ヴィシャーヤハと言います。ここの壁は黄色だ、という知識は、感覚器官である自分の目を信頼して得ています。本当に黄色なのか?と自分の目を疑うことはありません。その感覚を信じなければ、何も始まりません。一方、グルを通じて自分自身の知識を得ることをアポウルシェーヤ ヴィシャーヤハと言います。感覚器官と同じように、ヴェーダンタの教えを信じ、それを教えるグルの言葉を信じて知識を得ます。

信頼すること

自分自身の知識は、聖典やグルからしか学ぶことができません。それに対して信じる気持ちがなければ理解することができません。私たちは常に信頼することで生活しています。例えば、次の日また目が覚めることを信じて夜眠ります。医学についてわからなくても、その医師が自分の病気を治してくれる薬を処方をしてくれたことを信じて薬を飲みます。計算ができなくても、先生を信じて1+1=2と覚えます。何をどうやって調理しているかわからなくても、食中毒にならないと信じてレストランでご飯を食べます。それと同じように、すべて理解できていなくても、まずは自分自身の知識を正しく教えてくれると、聖典とグルを信じることが大切です。

運命とは信頼と繋がり

運命とは、何を信じるかで変わります。まず信じることをしないと、その外の世界が見えません。そしてその信頼は繋がりです。例えば、1万円を誰かに貸すとき、全く知らない人に貸す人はほとんどいないかと思いますが、信用できる古くからの友人が困っていたら貸すでしょう。お金を借りることができた友人と、借りれなかった人の次のステップは異なります。このように繋がりが信頼となります。そして信頼が運命を作っていきます。

 

No. 12|サマダーナムとは?

サマダーナムとは何でしょうか?心を一点に集中させることです。

解説

私たちは好きなことにしか集中できません。興味のない話題を聞かされても、全く頭に入ってきません。それと同じように、自分自身の知識についても、興味があり、集中しないと理解することができません。自分自身の知識は、実体があるものではありません。色もなく、形もなく、最も大きいものよりも大きく、最も小さいものよりも小さいともいわれいます。それを知るには、強い集中力が必要です。

ここまでの6つが、自分自身の知識を学ぶために必要な4つの資質の中の3番目、シャマーディシャッカサンパッティの中の6つの説明でした。

 

No. 13|ムムクシュットヴァンとは?

ムムクシュットヴァンとは何でしょうか?私を悟らせてください、という強い望みのことです。

解説

自分自身の知識を学ぶために必要な4つの資質の中の最後がムムクシュットヴァン(願望)です。一般的に私たちが抱く願望はたくさんあります。楽しみたい、これが欲しい、結婚したい、子供が欲しい、旅行がしたい、昇進したい、名声を得たい・・・・常にいろいろな願望を持っていて、何かを得たら、また次の願望が現れます。そして、それらが得られなかったときやなくなったときに、悲しみや絶望を感じます。それらの常に変わっていく幸せ、永遠でない幸せを追い求めていても永遠の幸せ(=解放)を得ることができません。永遠の幸せを得ることは、自分自身の知識を得ることのみで達成できます。それを信じ、自分自身の知識を得るというたった一つの願望を強く持つことが、ムムクシュットヴァンです。ここで注意したいことは、それ以外のすべての願望を持ってはいけないということではありません。それらが手に入っても入らなくても、とらわれることがないという感覚です。

 

No. 14|4つの資質のまとめ

これらが4つの資質です。それを養った後、真実を探求するのにふさわしい資格が得られます。

解説

これらが4つの資質です。これがあって初めて自分自身の知識を学べます。完璧な人は少ないと思いますが、もし足りない部分があっても、あるように振る舞うことが大切です。

 

 

続きの章からは、このページの最初にあった、永遠のものと永遠でないものの説明に移ります。

 

 

次はこれを要チェック

 

 

 

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『VEDANTA BOOK OF DEFINITIONS』 Swami Tejomayananda

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